スマートウオッチでの検出「不整脈の誤認逮捕」困る 信頼できる専門医を/医学博士・鵜野起久也

不整脈IQを鍛えよう<4> 不整脈を診断治療するために、長時間心電図検査が重要なことをお話ししました。その上で簡便性、迅速性、正確性が担保されることが重要です。特に、従来の長時間心電図検査ではその迅速性に難があり、検査後から解析終了までに病院によっては1~2時間から数日~数週間まで(当院調べ)と、施設によってかなりの差があることも問題です。不整脈は患者の負担が少なく、速やかで、正確に発見して対処しなければなりません。 そうした問題も背景に、最近ではスマートウオッチによる不整脈検出が不整脈診断や治療効果判定においても期待されています。腕時計型のウェアラブルデバイスは最近の健康ブームに乗って、スマホの健康アプリとともに世界中に広まりつつあります。 特にアップルウオッチは、ヘルスケア事業に積極的に取り組んでおり、その精度も不整脈の種類によって向上してきています。不整脈の検出アルゴリズムが心電図波形間の病的ゆらぎの数理的検出によるもので、心房細動に特化していると言えます。そのため心房細動以外の不整脈の検出に難があるようです。心房細動検出の精度は84%と高いものの、その結果だけでは確定診断とはなりません。 それはアップルウオッチでも、汗や皮膚との接触不良による記録される心電図波形へのノイズ混入が問題になるからです。日本では医療器具としてまだ認められていません。アップルウオッチでの不整脈記録のみからのアブレーション治療介入の判断には、いま少し問題があり、日を待ちたいところです。 スマートウオッチを買って自分の不整脈に心配になり、受診する方を多く経験します。やはり心電図をたくさん判読している経験豊かな、かつ信頼できる専門医への受診をお勧めします。「不整脈の誤認逮捕」では困りますから。

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