今年もついに日本映画の興行史において今や欠かせない存在となっている、劇場版『名探偵コナン』シリーズ次回作のタイトルが発表された。第29作目となるのは『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』(はいうぇいのだてんし)。公開日も4月10日に決定した。ティザー映像ではゴールデンウィークと発表されていたこともあり、公開が早まっていることが興味深い。映像は原作絵に合わせながら爆弾のカウントダウンが進んでいくような演出があり、明らかに萩原千早の弟・研二や松田陣平といった“爆処組(爆発物処理班)”との関係を彷彿とさせるものだった。 その映像と同じように毎年恒例の次回作発表に欠かせないのが、原作者・青山剛昌の描き下ろしティザーポスターの公開だ。ここでビジュアルを通して作品のタイトルと、重要登場人物が明かされるのだが、中央に描かれているのは神奈川県警所属の警部補・萩原千早。彼女がメインキャラクターとして活躍することはティザー映像で明らかになっていた。白バイに乗る千早に後ろからぎゅっとしがみつく江戸川コナンと、「振り落とされるなよ、少年」というコピーは、原作で彼らが邂逅した時のことを思い出させる。 ■“風の女神さま”千早とコナンの関係性 千早が本格的に登場したのは、原作の第101巻、アニメでは第1098話〜1099話で描かれた「風の女神・萩原千早」。阿笠博士が事件に巻き込まれて誘拐され、それをスケボーに乗って高速道路で追っていたコナンが、犯人に邪魔をされて吹っ飛んでしまったところを千早がバイクに乗って受け止めた。後ろから車で追いかけていた毛利小五郎と蘭がその要素を一部始終を目撃し、蘭はその後停車し、ヘルメットを取った千早を見て「風の女神さま」と心の中で呟くのだ。『隻眼の残像』公開時すぐのティザー映像では、この蘭のセリフが使用されていた。 車両で逃走する犯人を、本来ならやってはいけない白バイ2人乗りという形で追跡した千早。コナンに自分の腰に回した手首に手錠をかけろ、と指示をした後に見せた狂気を感じる表情と運転テクニックが凄まじく、一見落ち着いているように見えて、かなり傍若無人なキャラクターである。しかし、彼女は初対面のはずのコナンを一方的に知っているだけでなく、彼が本当なら信じてもらえないと自覚するような追跡バッジなどの探偵団グッズの話も「君がそう言うのなら、そういうことなのだろう」と話を聞く、『名探偵コナン』の物語において数少ない江戸川コナンに協力的な大人なのだ。そこには『ハイウェイの堕天使』にも繋がってきそうな“とある過去”が関係している。