与党「国民の力」のハン・ドンフン代表が6日、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の早期職務執行停止が必要だ」とし、突然「弾劾賛成」に転じたのは、12・3内乱当時、国会などに出動した軍兵力に自身を含む政治家に対する逮捕令が下されたためだ。非常戒厳状況で「手続きにおける違法」を越えた実質的違法行為が確認されたということだ。いくら尹大統領と「取り返しのつかない仲」になったとしても、与党代表であり長年苦楽を共にした自分を「戒厳軍の逮捕対象」にしたことに対し、裏切られたという思いと怒りもあったとみられる。 ハン代表は同日午前、国会で開かれた緊急最高委員会議で、「戒厳令宣布当日、尹大統領が主要政治家などを反国家勢力という理由で、高校(沖岩高校)の後輩であるヨ・インヒョン防諜司令官に逮捕を指示した事実、大統領が政治家逮捕のために情報機関を動員した事実を、信頼できる根拠を通じて確認した」と述べた。また、「ヨ・インヒョン防諜司令官がそのように逮捕した政治家を果川(クァチョン)の収監場所に収監しようとしたという具体的な計画があったことも把握された」とし、「尹大統領が大韓民国大統領の職務を引き続き遂行する場合、今回の非常戒厳のような極端な行動が再現される危険性が高い」と話した。ハン代表の発言は、約3時間後のホン・ジャンウォン国家情報院1次長の暴露で確認された。 尹大統領弾劾訴追案の国会本会議表決を翌日に控え、ハン代表が「弾劾反対党論」に突然ブレーキをかけたことで、政界は弾劾案が本当に可決されるのではないかと大きく動揺した。特に、国民の力では親尹錫悦派を中心に激しい反発が起こった。 ハン代表はこの日午後、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の官邸で尹大統領と1時間以上面会してから国会に戻ったが、このような考えは変わらなかった。ハン代表は非公開の議員総会で「(尹大統領から)判断を覆すほどの話は聞いていない」とし、「私の意見は、大統領の業務を停止すべきということ」だと、弾劾に賛成する意向を重ねて明らかにした。さらに「そのまま見過ごすことはできないと思う。特段の措置がない限り、状況を打開できない」と強調した。 前日までも「党代表として弾劾案が通過しないよう努力する」と言っていたハン代表にとっては、この日の面会が尹大統領を説得する最後のチャンスだったはずだが、尹大統領はついにその期待を裏切った。結局、ハン代表が尹大統領の「切り捨て」を決意したのは、個人的にも法的にも、「弾劾不可」を貫くことでおびただしい逆風と非難にさらされる必要がなくなったと判断したためとみられる。尹大統領が軍と情報機関を動員して政治家の逮捕・拘禁を試みた事実が明らかになれば、内乱罪が成立する可能性がある。 ソン・ヒョンス、シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ [email protected] )