「レーダー照射」なぜ中国は素直に謝罪しないのか 非を認めず反論、逆ギレ…「ごめんなさい」と言えない国情

2025年12月6日、沖縄周辺の上空で、中国軍機による航空自衛隊機への「レーダー照射」問題が発生した。日本政府が中国側に抗議したところ、中国外務省の郭嘉昆報道官は「日本はわざと焦点をずらし、国際社会をミスリードしようとしているのか」と強硬に反発した。 こうした対応は、ここ数年の中国の対外姿勢から見ても、ごく典型的なパターンであり、今回に限ったことではない。しかし、あらためて一連の反応を並べてみると、ひとつ素朴な疑問が浮かんでくる。 ■中国が謝罪をしない複雑なメカニズム 日本側からすれば、レーダー照射という軍事的に重大な行為であっても、認めない・謝らない・逆に批判するという反応は異常に映る。しかしその背景には、中国のさまざまな事情や文化が複雑に絡み合ったメカニズムが存在する。 たとえば、日本では場の空気を和ませるために、とりあえず「ごめんなさい」と謝罪する、という風潮がある。 だが、中国社会ではとりあえず謝っておくという振る舞いは一般的とは言いがたい。 日常会話には「对不起」「不好意思」などの謝罪表現はあるものの、「軽い謝罪」を頻繁に口にすることが美徳とされているわけではない。 一方で、「下跪」や「跪下」のように、ひざまずくという動作を通じて謝罪や服従を示す表現もあり、これは敗北や屈服を強く連想させる。 そして、中国は実質上、中国共産党の一党独裁政権だ。 ただ、軍や政府の失態を認めることは、政権基盤そのものに傷をつけかねない。とくに近年、SNSを中心にナショナリズムが強まる中では、謝罪は政治的に極めてリスクが高い。 だからこそ、中国政府としては謝るわけにはいかない。国内政治が強硬姿勢を要求し、謝罪が政権の弱体化と捉えられてしまう以上、中国政府は謝罪よりも反論・反転・否定を優先する。 また、中国には「核心的利益」という言葉がある。 先にあげた一党支配体制の維持、そして台湾・チベット・新疆ウイグル自治区・東シナ海などの領土に関する問題、経済社会の安定かつ持続的な発展については、中国にとって妥協する余地のない国益(核心的利益)として譲れないドグマなのだ。

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