売春の客待ち対策、模索続く 路地塗装で一時は9割減 「イエローロード」1年・大阪

大阪・梅田の繁華街の一角に、路面が黄色く塗られた「イエローロード」と呼ばれる道がある。 売春の客待ち対策として昨年12月に塗装されて1年。一時は女性の姿はほぼ消えたが、最近は再び集まる様子も見られ、地元関係者らは模索を続ける。 イエローロードは大通りとホテル街をつなぐ100メートルほどの路地で、JR大阪駅から徒歩約10分の場所にある。数年前から客待ちの女性や物色する男性が集まり、いつしか「売春スポット」とやゆされるようになった。 「ここでは子育てできない」。地元の防犯協会支部長の藤野雅文さん(80)の元には住民からの苦情が相次いだ。「この辺りで生活、商売する人にとっては切実な問題だった」と振り返る。 自治体、専門家らも交えて対策を検討し、たどり着いたのが路面を黄色に一変させる方法だ。目立つ場所を嫌がる人間の心理を利用し、明るい環境にすることで立ちにくくさせる狙いがあった。昨年12月初旬に塗装し、地元学生が描いた海の生き物のイラストも添えられた。 管轄する大阪府警曽根崎署などの調査によると、塗装前の昨年11月の夜に立っていた女性は平均10.1人だったが、今年2月には平均1.4人まで激減。塗装の効果はてきめんだったが、夏ごろから再び現れ始めた。「それまでの『常連』ではなく『新顔』が増えた」(同署担当者)という。 府警は7月と11月に一斉摘発に乗りだし、売春防止法違反容疑で延べ8人の女を逮捕した。好みのアイドルやホストらを応援する「推し活」や遊興費など動機はさまざまで、月約60万円を稼いだ人もいた。担当者は「逮捕されるリスクよりも金を優先しているのだろう。(摘発されても)ダメージはないのかもしれない」と語る。 同署は職務質問を積極的に行うほか、女性自身の考え方を変えてもらおうと支援窓口を紹介するパンフレットなども現場で配布し、定着させない努力を続けている。定期的に巡回する藤野さんは「塗装前に比べて減ったのは確かだ」としつつ、女性に向けて「自分の体を大切にしてほしい」と訴えた。

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