「あいつがどんどん軽くなって…冷たくなって…」シンナーで死んだ教え子と「水谷先生、あんたが殺したんだよ」夜回り先生を変えた専門医の言葉【冬休み・薬物に手を出さないで(3)】

2025年12月、福岡県久留米市で「若者たちに広がる覚せい剤、大麻、市販薬乱用-夜回り先生、いのちの授業-」と題した講演会が開催された。 講師として迎えられたのは水谷修さん。 「夜回り先生」として知られている。 水谷さんはシンナー中毒だった教え子「マサヒロ」の死、そして「水谷先生、あんたが殺したんだよ」と語った薬物依存症の専門医の言葉について話した。 ※全6回連載その(3) 【最初から読む】右手の親指をトンカチで潰され、背中を刺され…夜回り先生・水谷修さんが35年戦い続ける「夜の世界」と失われた406の命【冬休み・薬物に手を出さないで(1)】 ■マサフミの死「体から真っ赤な血がどんどん流れて…あいつがどんどん軽くなって…冷たくなって…白くなって…」 水谷さんが嘘をつき、追い返してわずか4時間後の翌日午前2時、マサフミは自宅近くの公園で仲間2人とシンナーを吸い、フラフラになってダンプカーに飛び込んだ。 即死だった。 病院の処置室で、水谷さんはマサフミの体を抱いて洗った。 水谷修さん(夜回り先生) 「あいつの体からありとあらゆるものが真っ赤な血がどんどんどんどんどんどん流れてって、あいつがこの手の中でどんどん軽くなって、どんどん冷たくなって、どんどん白くなって」 頭を潰されていたマサフミの顔を、水谷さんは医師や看護師と一緒に形を整え、包帯を巻いて母親に会わせた。 ■訪れた暴走族 マサフミの母親「お前たちがマサフミ殺したんだ」 2日後の通夜。 暴走族が300台以上のバイクで追悼暴走し、花束を持って現れた。 水谷修さん(夜回り先生) 「お母さんの顔が鬼に変わった。裸足で飛び出して行って首根っこ掴んで『人殺し、人殺し、お前たちがマサフミ殺したんだ。マサフミ返せ、マサフミ返せ』泣き崩れました。『お母さん、勘弁してやってください。こいつらも俺の可愛い可愛い生徒なんです。お前たち、お母さんのおっしゃってること分かるな。誰だ?マサフミにシンナーを教えたの?誰なんだ?マサフミにシンナーを渡したの?こんな悲しいこと2度と繰り返すな。花束置いてっていい。静かに散れ」。六十数束の花束が綺麗にマサフミを覆いました。お母さん朝まで何やってたと思います?『馬鹿野郎』叫びながらその花束1つ1つ持って外飛び出して、地面に叩きつけて、足で踏みにじって。花には罪はない、でも止めれなかった。朝まで黙々と片付けました。」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加