甘い言葉をささやき、その気にさせて店に誘う。 「将来一緒にいたいから」 長い間、それはホストの常とう手段とされてきた。「色恋営業」と呼ばれる。 だがこのほど、女性の恋愛感情につけ込んだ営業があったとして、大手ホストクラブに初めての行政処分があった。 身の丈を超えた高額料金を支払わせるホストクラブの悪質性は、規制に向けた法改正後も続いている。 ◇「アクアグループ」の2店 女性客に恋愛感情を芽生えさせる「色恋営業」をして大金を使わせたとして、東京都公安委員会は東京・歌舞伎町のホストクラブ2店に風営法に基づく「指示処分」を出した。2025年6月施行の改正風営法で規制されてから、行政処分が出るのは全国で初めて。 処分を受けたのは、いずれも東京都新宿区歌舞伎町でホストクラブ大手「アクアグループ」が運営する「AXEL by ACQUA」と「AXEL TOKYO by ACQUA」。18日付で、前者のみ営業中とみられる。 ◇在籍「エレン」2度逮捕 この2店を巡っては、警視庁が1月、働いていたホストの竹岡拓人容疑者(27)を風営法違反(客引き)容疑で逮捕し、20日にも再逮捕した。 2回とも逮捕容疑は、ホストと明かさずにマッチングアプリで知り合った女性を店に呼んだ疑いで、黙秘を続けている。24歳だった女性には消費者金融5社で借金をさせ、店で250万円を支払わせていたという。 警視庁によると、竹岡容疑者は「エレン」のホスト名を使う一方、アプリには「IT関係」「上場企業(マーケティング)」と登録。知り合った女性には「将来一緒にいるから今だけ支援して」などの誘い文句を使っていた。 押収したスマートフォンを解析したところ、アプリで400人の顧客を管理し、消費者金融で借りさせた金額を記録していた。警視庁には、20人以上の女性から被害相談が寄せられているという。 悪質ホストクラブはここ数年、女性客を半ばだまし討ちにして誘ったり、身の丈を超えた高額料金を支払わせたりする営業が問題になってきた。風営法の改正につながり、業界は改善を掲げたが、被害は収まっていない。【菅野蘭】