巨人の橋上秀樹監督代行(60)が13日、東京・大手町の読売新聞ビルを訪れ、山口寿一オーナー(69)にシーズン終了のオーナー報告を行った。今季は阿部前監督の辞任を受け、交流戦初戦から代行を務めた。貯金を10個積み上げるも阪神に2・5差の2位に終わり、クライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)でDeNAに敗退した。会談ではチームの長打力不足を最大の課題として共有。打ち勝てるチームに戻るため、スラッガーの育成に心血を注いでいく。 穏やかな表情で率直な思いを語った。橋上監督代行は山口オーナーへのシーズン報告を終えた後、報道陣に対応。「『いろいろあった中、最後は残念でしたけど、最後までやっていただいて、ありがとうございました』ということは言っていただきました。代行として最低限の仕事は果たせたと思って、そこは一番安心しましたというお話はさせていただきました」。異例のシーズンを全うした。 5月25日に阿部前監督が長女への暴行容疑で現行犯逮捕(後に不起訴)され辞任。オフェンスチーフコーチから急きょ、監督代行に就任した。全員野球で団結し、指揮を執った97試合で52勝42敗3分けと奮闘したが、優勝した阪神に2・5差で惜しくもリーグ2位に終わった。「激動に近い約半年でした」。10、11日のCS第1S(東京D)でDeNAに連敗。14年ぶりの日本一には届かなかった。 課題は明確だ。今季チーム打率2割3分4厘はリーグ4位、103本塁打は同4位。昨季まで長く4番を務めていた岡本がメジャー移籍した打線は苦戦した。山口オーナーとの会談では「ホームラン、攻撃力が今シーズンの課題ということは、お話の中であった」と長打力が話題に挙がったという。 助っ人のダルベックが25本塁打、キャベッジが13本塁打したが、日本人は大城と佐々木の10本が最多。CSでもDeNAの度会、牧の本塁打で痛恨の失点を喫し、一発の重みを見せつけられた。「『今後の野球、勝ち進んでいくためには、そこは大事なことなんだなと改めて感じるシーズンだったね』という話はしていただきましたし、私もそう感じていたので」。山口オーナーと認識が一致した。 来季からセ・リーグもDH制になるだけに、時には打ち勝つ野球もできなければ、常勝は難しくなる。野手の補強を模索し、ドラフトも控えるが、現有戦力の底上げが最重要だ。リチャードや佐々木、中山や石塚をはじめ10本、20本と期待できる選手はいる。ファームにも三塚や育成・竹下などスラッガーの“原石”があふれている。「ホームラン、長打力に関しては、今回のCSも含めて非常に大きなポイントになりましたので」。一振りで流れを変えられる選手の台頭、育成は急務だ。 積極起用した若手には「経験しただけで終わるのではなく、今後プラスにしてこその経験だと思う。そのことは強く望みたい」と願った。現役監督の途中辞任という異例のシーズンで浮き彫りになった攻撃面の課題。その改善が、来季の3年ぶりリーグ優勝、15年ぶり日本一へ欠かせない要素になる。(片岡 優帆) 〇…橋上監督代行は今後について「今日の時点では特に話はしていないです」とオーナー報告の席でも話題にならなかったとし、未定であることを強調した。一部報道陣から「他球団から話が来ているか」と聞かれると「たぶん、来てても来てると言わないですよ。いや、来てないですけど」と笑顔で答えた。橋上監督代行に聞く ―監督代行を務めた今季を振り返って。 「一野球人としては本当に貴重な経験というか、そういったものをやらせていただいたことに対しては非常に感謝しています。改めて読売巨人軍というチームがプロ野球界でどういう役割を担っているか、痛感したシーズンでした」 ―苦しかったことは。 「もちろんいっぱい苦しいこともありました。ただ、野球界にいる人間としては、この上ない幸せを感じながら、やりがいを感じながらやらせていただいたので。どちらかというとそちらの方が多かったかなと」 ―巨人を率いる特別さ。 「他のチームで監督をしてるわけじゃない、あくまで独立リーグ(BC新潟)でやったぐらいですけども、やはり注目度合いとか、ファンの方の熱量であったりだとか、そういったものは今まで感じたことのないぐらいのものを感じながらの日々でした。こうやって(報道陣に)囲まれることもそうですけど」 ―代行を務めたことで指導者として野球観が変わったり新たな発見は。 「読売巨人軍であっても、やはり今の時代に求められる組織運営、指導というものに関しては、どこでも同じなんだなということは改めて感じました。今後もし何か指導することがあるのであれば(選手と近い距離で接するなどの)今のスタイルが今の時代にはフィットするんじゃないかということは感じました」