証券会社の利用客に、架空の積立金制度への投資を勧めて1000万円をだまし取ったとして、警視庁戸塚署は詐欺の疑いで、野村証券元社員、張湧太容疑者(30)=横浜市鶴見区=を逮捕した。容疑を認めている。 逮捕容疑は令和6年1月、顧客だった東京都中野区の70代女性に「年2%の利率をつけて返済できる」などうそを言い、実在しない積立金制度に投資させ、自身の預金口座に1000万円を振り込ませてだまし取ったとしている。 戸塚署によると、張容疑者は優良法人客を専門に対応する部署で営業を担当。大手証券のブランドを悪用して、女性を信じ込ませていた。戸塚署は、この女性からほかにも数千万円をだまし取っていた可能性があるとみて調べている。 張容疑者には、オンラインの競艇や競輪を通して消費者金融などから多額の借金があり、不正に得た現金の一部は返済に充てていた。 野村証券には計約7年間在籍し、6年6月に自己都合で退職。後任の担当者が女性とやりとりする中で被害が発覚した。張容疑者は「(不正が)いずれ発覚すると思い、会社をやめた」などと供述しているという。