「無罪になった人を犯人視するのは名誉毀損になりかねない」検事総長談話めぐり袴田巖さん弁護団が国を提訴へ 国家賠償求める裁判も

裁判のやり直しで無罪が確定した袴田巖さん(88)の弁護団は無罪判決に対し、「強い不満」などとした検察の談話について名誉毀損で訴えを起こす方針を固めました。「無罪が確定した袴田さんを犯人視している」と指摘しています。 袴田さんは1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして逮捕され、一度は死刑が確定しましたが、2024年、再審で無罪が言い渡されました。 この判決に対し、検察が控訴を断念したことで、袴田さんの無罪が確定しましたが、検察のトップ畝本直美検事総長は、「判決は理由の中に多くの問題を含む到底承服できないもの」「判決が5点の衣類を捜査機関のねつ造と断じたことは強い不満を抱かざるを得ない」などとする談話を発表しました。 これに対し、弁護団は強く反発していました。 <弁護団 小川秀世弁護士> 「検事総長の談話の中では、袴田さんを犯人扱いしているような部分が1ページのところに書いてあるが、無罪になった人を犯人視するのは、犯人だと言うことは名誉毀損になりかねない。実際そういう判例もある」 弁護団は2月12日、会議を開き、検事総長の談話は袴田さんを犯人視し、名誉毀損にあたるとして国を相手取り、提訴する方針を固めました。さらに長時間にわたった過酷な取り調べなど捜査機関による捜査の違法性をめぐって、国家賠償を求める裁判も起こす方針です。 いずれの訴えについても最終的な判断は、袴田さんの成年後見人にゆだねられるということです。

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