2月28日、大阪府八尾市で凄惨な事件が明るみになった。 コンクリート詰めの遺体を遺棄した事件で逮捕されたのは大阪市平野区の無職飯森憲幸容疑者(41)。逮捕容疑は昨年11月上旬、当時80代の父親が入居していた八尾市の集合住宅の一室に衣装ケースに入れた遺体を遺棄したというもの。その手口はとんでもない内容だった。 10数年前に当時7歳ぐらいの姉の子どもである女児を金属製の衣装ケースに入れ、コンクリートを流し込んだというのだ。警察の調べに対し飯森容疑者は 「姉が家を出ていき子どもの面倒を見るようになった。10数年前に一人でコンクリート詰めにした」 と供述しており、また、この女児を「殴った」とも供述しているという。飯森容疑者は当時、母親と平野区内に住んでおり、父親、姉、殺害された娘は3人で遺体が見つかった集合住宅から約200m離れた八尾市太子堂の住宅に住んでおり、そこに遺体が放置されていたとみられる。 その後、姉が出ていき、娘を飯森容疑者と母親で面倒を見るようになったという。父親は単身となり、昨年10月頃に建物の老朽化に伴う立ち退きのため今回事件が起きた集合住宅に引っ越したが、年末頃には退去したという。昨年11月上旬にコンクリート詰めの衣装ケースを運び込んだとみられている。飯森容疑者の内縁の妻も衣装ケースを運んだということだが、中身については一切知らされていなかったと警察の任意の調べに対し話しているということで、逮捕は見送られていた(その後、3月6日に死体遺棄容疑で逮捕)。 コンクリート詰めの衣装ケースは約228キロという重さであることが鑑定結果で判明しており、台車を使用して約200m離れた住宅へ2人だけで運ぶのは相当な行動だったことがうかがい知れる。 ◆大声を出してヤカる 事件が発覚したのは、この集合住宅の管理人が押し入れからコンクリート詰めになった衣装ケースを発見し、警察に通報したことからだ。しかしながら当初は警察が事件性なしと判断し、退去した住人に連絡を取るように伝えた。管理人が退去した住人に連絡が取れないことから改めて八尾警察署に相談したところ、警察官がコンクリートからわずかに異臭がすることに気付き、事件が発覚した。 退去した住人である飯森容疑者の父親は現在、福祉施設に入所しており、警察が飯森容疑者に連絡を取り、任意の調べに対し事件のことを供述したということだ。衣装ケースは鑑定の結果、身長およそ1mの子どもとみられる白骨化した遺体が中から見つかり、3月1日、遺体を遺棄した疑いで逮捕された。 今回、飯森容疑者を古くから知る人物に話を聞くことができた。 「昔からヤンチャなところはありましたが、この10年くらいで性格は温厚な感じになったのかなと思います。普段からペラペラ喋るようなタイプではなく、口数は少なめ。でもあちこちよく見ていて気がきく感じでした。家族関係はややこしいと漏らしてました。一方で現在の内縁の妻と出会ってからはエエ感じで過ごせてるということでした。5年くらい前までワゴン車を乗り回してあちこち行っていることもありましたが、車が壊れてからは次の車を買うこともなく、交通手段はチャリに変わってました。 ゴツい体格でゴリラみたいな感じやったんですけど、この数年で痩せたなという話をすると本人は『ダイエットしてる』と話してました。最近は仕事もしてなかったようで、どないして生活してんかなとは気になってました。内縁の妻とそのお母さんと3人で暮らしてたみたいですけど、それ以上のことはわかりませんし、まさかこんなことしたなんて夢にも思いませんでした」 一方で、「キレるとなかなかヤバい感じでした」と続ける同氏。 「昔、何人かで呑みに行ったことがあるんですけど、ちょっとでも気に食わんことがあると店員だろうが関係なく大声を出してヤカる(文句をつける)ことも何度かありました。止める人間がおらんと相手に殴りかかろうとすることもあって、そう思うと最初の話じゃないけど、落ち着いたんやなと思いました」 と話す。 飯森容疑者の落ち着きは人間性が成長して落ち着いた表れだったのか、今回の犯行が露見することを恐れて静かに過ごしていたのか。警察は女児の殺人容疑も視野に捜査を進めている。また、女児の母親である飯森容疑者の姉は実在するのか、その行方についても捜査が続けられている。 取材・撮影・文:有村拓真