エルドアンの目の敵、イスタンブール市長は「政治的理由で逮捕された」と多くの人が考える理由

最大のライバルの逮捕 トルコの最大都市イスタンブールの市長エクレム・イマムオールが先週から拘束され、3月23日に正式に逮捕されたことを受け、トルコでは野党や支持者を中心に反発が広がっている。 イマムオールはかねてより現大統領のレジェップ・タイイップ・エルドアンの最大のライバルと目されており、与党にとっては脅威となる存在だった。 ドイツメディア「ドイチェ・ヴェレ」などによると、2019年に1万3000票差でイマムオールがイスタンブール市長に当選した際には、エルドアンの与党「公正発展党(AKP)」が異議を申し立てた。それが認められて再選挙がおこなわれたが、そこでイマムオールは80万票以上もの差をつけて圧勝。一躍、反エルドアンの象徴的人物となった。 その後も当局によるさまざまな追及を受けながらも人気は衰えず、彼の所属する「共和人民党(CHP)」は2024年の地方選挙で大勝した。 イマムオールが逮捕された23日、彼はCHPから次期大統領選挙の候補として正式に発表される予定だった。そのタイミングもあり、野党支持者らは捜査が政治的動機によるものだと猛反発。英誌「エコノミスト」などによると、「過去10年間で最大規模」の抗議デモが全国で起こっており、当局の発表ではこれまでに700人以上の参加者が拘束される事態となっている。 また、同誌によると、22日、当局は手続きの不備を理由にイマムオールの大学の卒業資格を取り消した。 これにより、仮に今回の逮捕の理由とされた「汚職疑惑」が晴らされて次の大統領選挙前に釈放されるとしても、イマムオールの勝ち目はほぼなくなったといえる。トルコの大統領職は大学卒業者でなければならないと決まっているため、立候補資格を失ったのだ。 任期通りにいけば、次の大統領選挙は2028年とまだ先だ。そしてトルコの憲法上、3選は認められないため、現在2期目のエルドアンは次の選挙には立候補できないはずだ。 しかし、あるカラクリを使えば、エルドアンがさらに長く権力を握ることが可能になる。この段階でライバルを確実につぶしたエルドアンは、その意図を隠さなくなったといえる。 【続きを読む】いま「最大のライバル」を排除したエルドアンが目指す“任期延長”のカラクリ では、憲法上は現在の任期で終わりなはずのエルドアンがなぜあの手この手でライバルを封じようとするのかを見る。プーチンが用いたのと同じような手口をおこなうことが可能なのだ。

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