中国・人権派弁護士ら一斉拘束から10年、今も厳しい監視下に

10年前の7月、中国で人権派の弁護士ら300人あまりが一斉拘束されました。いまも当局の厳しい監視下にある当事者たちの現状に迫りました。 中国西部・甘粛省。先月、裁判所の前に、ある女性の姿がありました。かつて、「中国で最も勇敢な弁護士」と称された王宇さん。しかし、弁護士資格は剥奪されています。 10年前の7月9日、中国当局は、弱い立場の人たちの弁護を行っていた王宇さんらを国家政権転覆の容疑で拘束。弁護士ら300人あまりが一斉に拘束される、かつてない弾圧は「709事件」と呼ばれました。 王宇さん「この国が法治国家になるように活動してきたが、それが権力者を刺激したと思う」 王宇さんは拘束の1年後、突如、中国メディアの前に姿を現します。罪を悔いる様子が映し出されたインタビューは、まるで“見せしめ”でした。 王宇さん「私が話したのは、彼ら(当局)が書いた文章を丸ごと暗記したもの。その時、夫と息子が空港で拘束されていた」 その後も王宇さんへの圧力は続きます。 記者「拘留施設の外では、家族や支援者らが王宇(元)弁護士が出てくるのを待っています」 この10日前、王宇さんは警察を侮辱したなどとして、拘束されたのです。 王宇さんの夫「それでも人間か!」 拘束期間中、当局への抗議を示すため、ハンガーストライキを行った王宇さん。拘束される直前の映像では、王宇さんの知人が警察官に携帯電話を奪われ、小競り合いになりました。 王宇さん「友人を助けようと警察に通報し、そこに立っていただけだったのに拘束された」 王宇さんが所属していた弁護士事務所の責任者で、自身も逮捕され、懲役7年の判決を受けた周世鋒さん。 周世鋒さん「言論・行動の自由は、10年前よりも悪化している。人権問題を解決しない限り、ほかの民主国家から見捨てられ、孤立する」 王宇さんは、今も弱い立場にある人たちの法的な支援を行っています。障害のある息子への地元政府からの給付金が突然、打ち切られたとして、裁判を起こした男性。 王宇さん「なぜ給付が打ち切られたのか、法的根拠やプロセスの正しさを問いたださないといけない」 男性は王宇さんらを頼るしかなかったといいます。 地元政府を訴えた男性「裁判は、すべて共産党が仕切っている。政府が違法なことをしたら、裁判所は政府側に立って証拠を消している」 なぜ、王宇さんは闘い続けるのか。 王宇さん「助けが必要な人たちがいる限り、私は自分の知識を使って助けていきたい」

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