奈半利町役場への強制捜査から5年。町の職員2人が逮捕されたふるさと納税をめぐる汚職事件は22日、一つの節目を迎えました。 高知地裁・稲田康史 裁判長: 「被告を懲役2年の実刑に処する」 判決を受けたのは町の元課長・森岡克博被告(50)です。森岡被告は2018年から翌年にかけ、課長補佐としてふるさと納税事業を担当していた柏木受刑者と共謀。返礼品を扱う地元の水産会社から179万円の賄賂を受け取った受託収賄の罪に問われていました。 森岡被告は当時、課長補佐だった柏木受刑者に「もうけ話はないか」ともちかけました。柏木受刑者は返礼品を扱う水産会社の社長に森岡被告の息子をアルバイトとして雇い、梱包作業名目で森岡被告が管理する口座に振り込むよう依頼。それを隠すために息子の住民票を不正に異動させました。 しかし2022年、高知地裁は「賄賂の認識はない」とし受託収賄については無罪に。息子の住民票を不正に異動させた罪で懲役1年の実刑判決を言い渡し、検察・弁護側がともに控訴していました。 高松高裁は「被告の賄賂性の認識を認めなかった点には事実誤認がある」として一審判決を破棄。2024年8月に始まった異例のやり直し裁判では、賄賂性を否認していた柏木受刑者が証言を一転させました。 22日の判決: 「柏木受刑者は、賄賂性の認識を認めた上で被告人とのやりとりを詳細に供述した。あえて自らに不利益な虚偽の供述をするとは考え難く、内容が具体性かつ迫真的であり信用できる」 判決で稲田康史裁判長は「ふるさと納税の返礼品業者に賄賂を要求し、179万9500円という少額とは言えない賄賂を受け取った。公務員の職務の公正や社会の信頼を毀損した程度は大きい」と指摘。 「元課長補佐の柏木受刑者よりも優位な立場にあり、経済的利益をもっぱら受けていた被告人の責任は柏木受刑者より大きい。賄賂性やその認識を否認し、不合理な弁解に終始し、今なお自らの刑事責任に向き合う姿勢を示していない」などとし、懲役2年の実刑判決を言い渡しました。 森岡被告の弁護人は「控訴するかどうかは本人と話しあって決める」とコメントしています。