兵庫県の内部告発文書をめぐり、斎藤元彦知事らの疑惑を追及していた竹内英明元県議(当時50歳・2025年1月死亡)への名誉毀損容疑で、兵庫県警は9日、政治団体「NHKから国民を守る党」党首・立花孝志容疑者(58・東京都港区)を逮捕した。 今年(2025年)8月に竹内氏の遺族が兵庫県警に刑事告訴していた。告訴状は2通あり、6月13日と30日にそれぞれ受理されている。 竹内氏は昨年(2024年)、兵庫県議会・調査特別委員会「百条委員会」の委員を務め、兵庫県知事選投開票日の翌日・11月18日に県議を辞職した。 竹内氏の妻や代理人弁護士によると、立花容疑者は知事選期間中から竹内氏に関する真偽不明の発言を街頭や動画投稿サイトで繰り返したという。 逮捕容疑は、▼立花容疑者は昨年(2024年)12月、当時立候補していた大阪府泉大津市長選の街頭演説で「何も言わずに去っていった竹内議員はめっちゃやばいね。警察の取り調べを受けているのは間違いないね」などと発言。公然と竹内氏の名誉を毀損し、動画投稿サイト・ユーチューブでも配信した疑い。 また、▼今年(2025年)1月19〜20日には、自身のX(旧ツイッター)などで「竹内議員、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていた」「どうも明日逮捕される予定だった」などと虚偽の情報を発信し、死亡した後も竹内氏の名誉を毀損した疑い。 名誉毀損罪は、虚偽の事実を示して死者の名誉を傷つけた場合も罰せられる(刑法230条2項)。 起訴するには本人からの告訴が必要だが(親告罪)、死者に対する名誉毀損については、客観的にみて、事実が虚偽のものである場合にのみ成立し、遺族らが告訴することができる。 「明日にも逮捕」「任意の取り調べを受けていた」との発言については、兵庫県警本部長(当時)が立花容疑者の発言を、県議会で全面的に否定する異例の対応を取った。 兵庫県警は捜査への支障を鑑みて、立花容疑者の認否は明らかにしていないが、自身は刑事告訴されたことを受け、「違法性が阻却されるだけの根拠を持って発言している。不起訴、あるいは無罪を確信している」と主張。竹内氏が文書問題の県議会調査特別委員会(百条委員会)で斎藤氏を追及していたことに触れ「黒幕であると、誰でもそう思うじゃないですか」と述べていた。 竹内氏は百条委委員だったが、誹謗(ひぼう)中傷を理由に昨年11月18日に兵庫県議を辞職、その後1月18日に死亡した。SNSでも多くの批判的なコメントが投稿され、竹内氏は妻に「犯罪者扱いされている」と不安を訴えるようになった。2024年12月に「うつ状態」と診断され、症状が悪化していた。 立花容疑者は斎藤氏を応援する目的で昨年11月の県知事選挙に出馬。今年はこれまでに7月の参院選兵庫選挙区、6月の兵庫県三木市長選、3月の千葉県知事選などにそれぞれ出馬し、落選。そして、12月14日投開票の静岡県伊東市長選挙への出馬を表明していた。