韓国警察庁は、ベトナムに逃亡していたオンライン著作権侵害事件の主犯格であるA容疑者と、カンボジアに拠点を置くロマンススキャム組織員のB容疑者を同時に強制送還した。性格の異なる犯罪の容疑者だが、文化体育観光部および国際刑事警察機構(インターポール)との国際共助により、同時送還が可能になった。 27日、警察庁によると、この日午前に送還されたA容疑者(40代男性)は、約5年間(2020〜2024年)にわたり、17のウェブハードサイトに国内外の映画・ドラマ・ウェブ小説など計1万5863件の著作物を無断で掲載した容疑を受けている。A容疑者はマクロプログラムを利用し、著作物を大量にアップロードしていたという。 警察庁は今年6月、この事件を「インターポール・オンライン著作権侵害対応プロジェクト(I-SOP)」基準事件に選定した。その後、今年の著作権保護国際共助会議でベトナム・インターポール側に事件内容を共有し、A容疑者は10月、ベトナム・カインホア省で不法滞在の疑いにより現地当局に逮捕された。 I-SOPは、文化体育観光部・警察庁・インターポールが協力し、Kコンテンツ著作権侵害で海外に逃亡した容疑者を現地で検挙・送還するために設けられた国際共同作戦体制だ。政府は2021年から同プロジェクトを推進し、これまで「noonooTV」や「OKTOON」など関連の著作権侵害犯を検挙する成果を上げてきた。今回も警察庁は文化体育観光部著作権保護課と合同送還チームを編成し、A容疑者を国内へ送還した。 A容疑者と同じ日に国内へ強制送還されたB容疑者(30代男性)は、昨年から今年にかけて65人の共犯と共にカンボジアでロマンススキャム(恋愛感情を装って金銭をだまし取る詐欺)犯罪を行った疑いが持たれている。B容疑者は、SNS上で自分を女性と装って投資や送金を持ちかけ、被害者192人から計46億ウォン(約4億9000万円)をだまし取ったとされる。 この事件に関連し、警察は今回、東南アジア5カ国の警察駐在官戦略会議を開き、ベトナム公安と共助した。その結果、10月にカンボジアでの取り締まりが強化されると、陸路でベトナムへ密入国したB容疑者を含むスキャム組織員5人をベトナムで検挙した。これを機に、カンボジアを拠点とする韓国人対象のスキャム組織が、ベトナムやラオスなど周辺国へ拡大しているとの分析も出ている。 警察庁のイ・ジェヨン国際協力官は「著作権侵害とロマンススキャム犯罪はいずれもオンラインを基盤とした超国家的犯罪であり、国民被害が大きい案件だ」とし、「文化体育観光部・インターポールなど関係機関との共助をさらに強化し、海外逃亡犯の送還体制を高度化していく」と述べた。