「高額報酬」「ホワイト案件」 逮捕された4人はSNSでこのような投稿をして実行役を募り、強盗の指示をしていたという。 ’24年に首都圏を中心として多発した闇バイトによる連続広域強盗事件。逮捕されたのは全員20代で、福地紘人(26)、斉藤拓哉(26)、村上迦楼羅(27)、渡辺翔太(26)の4容疑者だ。 一連の広域強盗事件は18件に上り、’24年8月から11月にかけて、東京、千葉、神奈川、埼玉の4都県で発生した。この事件をめぐっては、これまで実行役38人、回収役などを含めると計55人が逮捕されている。被害額は2000万円以上だ。 前出の4人は実行役に対して、強盗をためらうと、 「住所は知ってる。家族、さらうぞ」 などと脅し、犯行を追い立てたとされている。 また、 「手の指を思いっきり逆に曲げろ」 などと極悪非道ともいえる指示をしていた。 今回の事件で指示役のリーダー格とされているのは、福地容疑者だという。 「福地容疑者は昨年11月に別の傷害事件で逮捕され、押収したスマートフォンから闇バイトを使って強盗を指示したとみられる痕跡が出てきました。全く関係のない事件からの逮捕となったのです」(全国紙社会部記者) 福地容疑者らは自身を「夏目漱石」「カワセミ」「佐々木」などと名乗り、匿名性の高い通信アプリで指示を出していた。 「警視庁などの合同捜査本部は今年夏ごろから調べを進めており、今年中になんとしてでも逮捕したかったそうです。各事件の実行役から押収したスマートフォンは750台を超えており、徹底的に解析することで、指示役の逮捕に至りました」(同・社会部記者) そんな極悪非道ともいえる指示役らの逮捕だが、リーダー格の福地容疑者には傷害致死などの前科があった。 ◆夜な夜な母親が街中を車で探し回り 福地容疑者は1999年3月、茨城県内で生まれ、小学校時代は東北部にある常陸太田市で過ごし、中学校も地元の学校を出て、県内の農業高校へ進学した。農業高校は1年で中退し、その後は定時制高校へ転入している。 福地容疑者の実家の近隣住民に取材をすると、過去をこう振り返る。 「4人きょうだいの次男で、やんちゃな子でしたよ。目立ちたがりで言うことを聞かないところがあった。周りからはヒロトくんと呼ばれており、小学校に進学したと同時に剣道教室に通っていた。運動神経は良かったから剣道は強いものの、自己流が強く、よくお母さんに怒鳴られていたのが印象的でしたね」 当時、福地容疑者が通っていた小学校は1クラス10人以下の小クラスで、その後、学校が統合されることになる。暴力行為はしないものの、他人をからかうことが好きで、おとなしい同級生に対して、過度なイジりをしていたという。 福地容疑者と中学時代に同級生だった息子の母は取材に対し、 「中学校に上がり、剣道部に所属し、市内大会で入賞することもありました。部長もしており、周りからは明るくて騒がしいやつということで親しまれていた印象です。ただ、この時期から先生などに対して反抗的な態度が目立ち、ヤンチャ度合いが増していったため、子どもに対し、福地容疑者とあまり関わらないよう指示をする保護者も少なくありませんでした」 と話す。 そして転機が訪れる。ある同級生は 「高校を機にヒロトは変わってしまった」 と証言する。 ’15年6月28日ーー。福地容疑者が農業高校を中退し、定時制高校に転入。高校2年生になったときだった。 「常陸太田市にあるスーパーの駐車場で、当時高校3年生の男子生徒が福地容疑者らのグループに呼び出され、暴行を受け死亡する事件が起きたのです。傷害致死の疑いで少年4人が逮捕され、福地容疑者は主犯格として成人と同じ刑事罰の事件で裁判が進められました。少年刑務所への送致が決まり、判決は懲役3年以上5年以下(求刑懲役4年以上6年以下)でした」(テレビ局関係者) 当時の事件を知る週刊誌記者によると、福地容疑者は男子生徒の顔を殴る蹴るのほか、石などを打ち付け、亡くなった被害者は顔が別人のように膨れ上がっていたという。 前出の同級生によれば、 「高校へ進学したら、ヒロトの交友関係は一気に悪くなって、暴走行為や飲酒などの不良集団と絡み始めました。家にもロクに帰ってこなかったため、夜な夜なお母さんが車を走らせ、街中を探し回っていました」 と語る。 20歳になると同時に模範囚として福地容疑者は少年刑務所を仮出所した。 「出所後は県内の不動産企業で働いており、保護観察が1年ほどで終了したあとに上京したと聞いています。『雇われだけどバーの店長をやる』と周囲に話していました。ただ、バー勤務も長続きはせず、’21年には60代女性(山梨県在住)から現金240万円をだまし取る詐欺事件を起こし、僕らの中では『やっぱり、こいつは更生できなかったんだ』と話題になりました」(同・同級生) そして今回の事件を起こしたことで、福地容疑者に対する疑念が確信へと変わったという。 「あいつは親の前では“まとも”を装っていましたが、やっぱりどうしようもない人間です。別に今回の事件を聞いても何も驚きません。あいつならやりかねないですよ。昔から事件を起こすのは決まってあいつでしたから」(同・同級生) 警察は福地容疑者らに多くの余罪があるとみており、時間をかけてひとつずつ追及するという――。