英国では議員が「米国の国際スポーツ大会除外」を求める動議に署名! ベネズエラ攻撃の影響は今夏のサッカーW杯にも!?

アメリカによるベネズエラ攻撃およびニコラス・マドゥロ大統領の逮捕・移送を受けて、来月開幕するミラノ・コルティナ冬季オリンピックへの米国選手団の出場を禁止すべきという主張がなされたことに対し、IOC(国際オリンピック委員会)はこれを退け、「我々の役割は、出身地に関わらず、選手が競技大会に参加できると保証すること」との声明を発した。 しかし、国際法違反が指摘される今回の軍事行動がスポーツ界に与えた影響はこれに止まらず、論争は今夏に米国で開催されるサッカーのワールドカップにも波及。英国の五輪専門メディア『inside the games』は、「2004年から2014年までアルゼンチンのスポーツ長官を務めたクラウディオ・モレシ氏が、FIFA(国際サッカー連盟)に対し、米国をW杯から除外する可能性を検討するよう正式に要請した」と伝えている。 同メディアによれば、これは他国の領土保全に対する武力行使を禁じた国連憲章第2条4項ならびにチューリヒに本部を置くFIFAの規約に盛り込まれている「人権、中立性、非差別の原則」に基づいたもので、「モレシ氏はまた、ウクライナ侵攻を受けてFIFAがロシアを追放した件に言及し、これは世界のスポーツ統治にとって極めて敏感な年における、避けて通れない前例だと強調した」 なお歴史的にW杯で同様の措置を取った事例としては、第二次世界大戦後にドイツと日本が1950年ブラジル大会から、1990年代のバルカン紛争中にはユーゴスラビア(当時)が1994年米国大会から締め出され、他にもウクライナ侵攻後のロシア、そしてかつてはアパルトヘイト下での南アフリカが数十年にわたって国際舞台には立てなかった。 この要請に対し、FIFAは現時点でコメントを出しておらず、予備的な検討を開始するかどうかも明らかにしていないと同メディアは伝えているが、すでに開催年に入っており、しかも米国は単なる参加国ではなく、開催国でもあるという状況、そしてFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長と米国ドナルド・トランプ大統領の「密接」ぶりからも、これが現実となる可能性は低いかもしれない。 しかし英国公共放送『BBC』は、英国でも労働党、自由民主党、緑の党、プライド・カムリといった政党の議員23人が、国際的な各スポーツ団体に対し、W杯を含む主要国際大会から米国を除外することを検討するよう求める動議に署名したと報じている。 「議員たちは、こうした大会が『強大な国家による国際法違反を正当化、あるいは常態化させるために使われるべきではない』と主張。マドゥロ大統領の『拉致』を含む『米国によるベネズエラへの行動のエスカレーション』に懸念を示し、それは『主権国家の内政への直接的介入』に当たると訴えた。また動議では、デンマーク(グリーンランド)、コロンビア、キューバに発せられた『米政府高官による、隠然たる、あるいはあからさまな脅し』にも言及し、それが『ルールに基づく国際秩序を損なっている』と指摘している」 同メディアも「W杯の大半の試合を開催する国に対して、FIFAが行動を起こすとは、ほとんど考えられていない」との見解を示しているが、今回の動議に署名したブライアン・リーシュマン議員の「これは主権国家への侵略であり、国家元首の拉致だ。私は(自国民を弾圧してきた)マドゥロ大統領を強く批判するが、それでも米国が起こした行為は国際法違反だ。ウクライナ侵攻後のロシアに対する扱いは、完全に正しい対応だった。だからこそ、同じ基準を求めている」との発言も紹介している。 「FIFA内では、ロシアはいまだ加盟国であり、代表戦の禁止は、道義的立場というより、対戦拒否や安全上の懸念によるものだったと指摘する声もある」と報じた同メディアは、「FIFAの姿勢を示す一例が、昨年10月のインファンティーノ会長の発言だ。国連調査委員会が、イスラエルがガザでパレスチナ人に対するジェノサイドを行なったと結論づけた後、制裁を求める圧力が高まる中で、彼は『FIFAは地政学的問題を解決することはできない』と述べている」と綴った。 さらに、今後に向けては米国が警告するさらなる他国への軍事行動が、W杯ボイコットに繋がる危険性を指摘し、またトランプ政権による強硬な移民政策が大会に暗い影を落とす可能性にも同メディアは言及しているが、W杯史上最大規模となる今夏の大会がどのような状況で開幕を迎えるのか(迎えられるのか?)が非常に心配でもあり、また興味深いところだ。 構成●THE DIGEST編集部

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