国税職員は脱税を試みようとする人をどのように追及するのか。国税職員として約13年間勤務したマネーライターの小林義崇さんは「嘘をつかれたり、話のつじつまが合わなかったりすると国税職員が引き下がることはなく、真実を聞き出すためにさまざまな角度からアプローチする」という――。 ※本稿は、小林義崇『相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。 ■国税職員は敵か味方か? 私が体験した調査事例 国税職員に対して、「少しでも多く税金を取ろうとする怖い人たち」というイメージがあるかもしれません。しかし、それは半分正しく、半分は間違いです。 私が東京国税局の新人職員として受けた研修で教わったのは、「脱税と節税はまったく違う。我々が是正すべきは前者である」ということでした。国税職員の使命は、「適正申告・適正納税」の実現であり、法律に則った形であれば、何も問題はありません。 私個人としても、合法的な節税をする人に対して「ズルい」などと思ったことは一度もなく、むしろ賢明だと感じていました。しかし、脱税の証拠を見つけたときは、徹底的に追及しました。 私に限らず、多くの国税職員には、「誠実な相手には誠実に、悪質な相手には厳しく」という二面性があります。その背景には、国税庁という組織そのものがもつ多面性が挙げられます。なお、国税職員は次のような行動規範が定められています。 ———- 〈任務遂行に当たっての行動規範〉 1 納税者が申告・納税に関する法令解釈や事務手続などについて知ることができるよう、税務行政の透明性の確保に努める。 2 納税者が申告・納税する際の利便性の向上に努める。 3 税務行政の効率性を向上するため事務運営の改善に努める。 4 調査・滞納処分事務を的確に実施するため、資料・情報の積極的な収集・活用に努める。 5 悪質な脱税・滞納を行っている納税者には厳正に対応する。 〈職員の行動規範〉 1 納税者に対して誠実に対応する。 2 職務上知り得た秘密を守るとともに、綱紀を厳正に保持する。 3 職務の遂行に必要とされる専門知識の習得に努める。 ———-