3年前、塩尻市で妻を殺害した罪に問われ、全面無罪を主張している元県議会議員の丸山大輔被告50歳。直接的な証拠がない中、裁判員裁判で検察側は懲役20年を求刑。全国的にも注目が集まる判決が来週23日に言い渡されます。司法は、どう判断するのか…。 丸山被告「妻を殺害したのは私ではありません」 10月に長野地裁で開かれた裁判員裁判の初公判で起訴内容を否認し、無罪を主張したのは殺人の罪に問われている元県議会議員の丸山大輔被告50歳だ。 事件があったのは3年前の2021年9月29日。塩尻市の自宅兼酒造会社の事務所で妻の希美さん当時47歳が倒れているのが見つかり、その後、死亡。死因は首を絞められたことによる窒息死だった。 県警は、殺人事件として捜査本部を設置するも進展がないまま1年が経過。その頃、丸山被告はテレビ信州の取材に応じている。 丸山大輔被告 「思い当たることがなさ過ぎていまだにみんな不思議なふうに思っています。本人がそんな人の恨みを買うようなタイプでもないですし、何があったか知りたいという気持ちは持っています」 ところが、この2か月後…。 ※2022年11月 北原刑事部部長 「丸山大輔 男48歳で本日11月28日午後9時12分に通常逮捕いたしました」 事件から1年2か月後、殺人の疑いで逮捕、起訴されたのは希美さんの夫で元県議会議員の丸山大輔被告だった。丸山被告は逮捕された直後から「夜は(長野市の)議員会館にいた」などと話し、一貫して容疑を否認。 迎えた初公判では…。 丸山被告「妻を殺害したのは私ではありません」 改めて起訴内容を否認。今回の裁判員裁判で争点となっているのは丸山被告が犯人であるかどうかの「犯人性」だ。 およそ2か月に及んだ審理で争われた4つの争点。 不倫や借金、防犯カメラに映った不審な車両などが証拠として法廷に提出された。証人尋問で出廷したのは事件前まで丸山被告と不倫関係にあったという女性など21人に上った。 いずれの争点でも検察側と弁護側で主張が真っ向から対立。これまでの審理では丸山被告が犯人であると示す直接的な証拠はなく、検察側は間接証拠を積み上げて有罪立証を試み、殺人罪の有期刑としては最も重い懲役20年を求刑した。 弁護側は「直接的な証拠はなく丸山さんは無罪」と全面無罪を主張している。 12月12日、和歌山地裁で全国的にも注目を集めた裁判員裁判の判決があった。 2018年5月、紀州のドン・ファンと呼ばれた資産家の男性が急性覚醒剤中毒によって死亡。男性に致死量を超える覚醒剤を摂取させ、殺害した罪などに問われたのは28歳の元妻だった。 この裁判員裁判でも元妻は無罪を主張。直接的な証拠がない中で検察側は状況証拠を積み重ね無期懲役を求刑。しかし、言い渡された判決は無罪だった。和歌山地裁は「状況証拠を積み重ねても元妻が覚醒剤を摂取させ、殺害したとするには“合理的な疑いが残る”」と結論づけたのだ。 刑事裁判に詳しい元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は…。 元東京地検特捜部副部長 若狭勝弁護士 「和歌山のいわゆる『ドン・ファン事件』無罪判決の事件と比べると、今回の県議会議員の殺人事件というのは証拠的にはむしろ状況証拠的には弱い・少ないというように感じます」 司法判断のポイントは防犯カメラに映った不審車両だと指摘する。 元東京地検特捜部副部長 若狭勝弁護士 「犯人が被告人であるというものとして状況証拠的に一番強いのはやはり移動手段。カメラ各種、防犯カメラ等に被告の車と同一の車両が不審者が映っていた。それが本当に被告人車両だったかどうかと。そこの分析と評価、それが一番大きな決め手・ポイントだと思います」 直接的な証拠がない中、全面無罪を主張する丸山大輔被告の裁判員裁判。長野地裁はどんな判断を示すのか…。 判決は来週23日に言い渡される予定だ。