熊本県八代市が発注した新庁舎建設工事をめぐるあっせん収賄事件で、逮捕された八代市議が入札で特定の企業に有利となる評価基準案を、当時の副市長に示していた疑いがあることが、捜査関係者への取材でわかった。 市議ら3人は、特定の企業に便宜を図った見返りとして、現金6千万円を受け取った疑いがあるとして警視庁などに逮捕された。警視庁などは、市議が役所内で影響力のある副市長に直接働きかけ、企業側が作った評価基準案を市側に採用させようとしたとみている。 この企業は準大手ゼネコンの前田建設工業(東京)。2019年9月、価格に加え技術力などを評価する総合評価方式の一般競争入札で、同社を中心とする共同企業体が新庁舎の建設工事を118億円で落札した。 警視庁によると、市議の成松由紀夫容疑者(54)らは16~21年ごろ、同社側が有利になる評価基準案を採用するよう市に指示するなどし、見返りに現金6千万円を受け取った疑いがある。 成松市議は今年4月に会見を開き、市側への指示や金銭の授受を否定していた。一方で、捜査関係者への取材で、警視庁が描く事件の構図が徐々に明らかになってきた。 捜査関係者によると、評価基準案は同社の社員が同社側に有利な評価内容で作成し、その後、成松市議に渡ったという。19年6月、成松市議は副市長室で副市長にこの案を示し、内容を変えずに採用するよう指示したとみられることが判明。案はその後、財務部長、入札業務の職員へと示されたとみられるという。 工事の不正疑惑をめぐる市議会の百条委員会では、入札業務に関わった職員が「『天の声』から一言一句変更することなく業務を進めるようにと指示があった」と明かした。評価基準は、ほぼ案の通りに決まったという。