無罪判決が確定した奥田恭正さん(68)=名古屋市=が採取されたDNA型データなどを抹消するよう国に命じた名古屋高裁判決を受けて、奥田さんと弁護団が7日、警察庁を訪問し、データ抹消についての説明を受けた。奥田さんと弁護団が会見で明らかにした。 弁護団によると、警察庁では、DNA型や指紋、顔写真についてシステム上で「該当データがありません」などと表示された画面が印刷された紙を示された。奥田さんは印刷された時間が紙に記載されていることも確認し、「目の前で抹消してもらうのを確認できるのが一番だが、今考えられる最善と思うところはやっていただいたかと思う」と述べた。 一方、弁護団は捜査におけるDNA型データの採取や保管、抹消などの運用について「法律で定めなければいけない」と訴えた。 高裁判決によると、奥田さんは2016年に自宅前のマンション建設に対する抗議中に現場監督を突き飛ばした疑いで、愛知県警に逮捕されてDNA型などを採取された。暴行罪で起訴されたが、無罪が確定し、奥田さんは警察庁が保管するDNA型などのデータ抹消を求めて提訴。昨年8月に名古屋高裁が抹消を命じる判決を言い渡した。(板倉大地)