タイの裁判所は8日までに、エイズ患者の支援活動で知られる寺院の元住職(66)に対し、寄付金を横領したなどとして計742年の懲役刑を言い渡した。実際の服役期間は法律で定められた上限の50年となる。 地元メディアによると、元住職は寄付金の横領やマネーロンダリング(資金洗浄)などの罪に問われていた。資金集めに関わった共犯の男にも長期刑が言い渡され、2人に計3億バーツ(約14億円)超を寺に返還するよう命じた。 元住職は1992年、エイズ患者への差別や偏見が根強かった時代に、行き場を失った患者らを受け入れるホスピスを中部ロッブリー県のプラバートナンプ寺に開設した。 先駆的な支援活動は高い評価を受けた。「聖人」とも称され、多くの寄付が集まった。2021年の日本メディアの取材では「患者たちは嫌われ、排除され、捨てられてきた。彼らを受け入れる場所が必要だった」と語っていた。 しかし、寄付金の管理を巡る疑惑が浮上し、25年8月に逮捕され、僧籍を離れた。事件はタイ社会で大きなスキャンダルとなった。【バンコク小泉大士】