韓国大統領の逮捕状を請求 現職初、尹氏はデモに参加する支持者に感謝メッセージ

【ソウル=桜井紀雄】韓国の捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」は17日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が宣布した「非常戒厳」を巡り、内乱首謀などの容疑で、尹氏の逮捕状をソウル西部地裁に請求した。現職大統領に対する逮捕状の請求は初めて。一時的な拘束に限られる拘束令状と異なり、逮捕状が発付されれば、最長20日間の拘束が可能となり、捜査に一層弾みがつくことになる。 大統領には不訴追特権があるが、内乱罪は例外。地裁は逮捕状発付の是非を判断する審査を18日午後に開く。原則は容疑者本人が審査に出席するが、尹氏が出席するかどうかは未定だという。 尹氏は17日、弁護団を通じて「多くの国民が寒い通りに出て国のために力を合わせていると聞いた。熱い愛国心に感謝申し上げる」とのメッセージを発表し、自身の拘束に反対するデモを続ける支持者らを激励した。 ソウル中央地裁は16日、拘束は不当だとした尹氏側の申し立てを棄却した。尹氏側は、公捜処に内乱容疑での捜査権はなく、ソウル西部地裁が発付した拘束令状も管轄外で無効だと主張してきたが、別の裁判所も拘束の適法性を認めた形だ。 尹氏は17日、公捜処による取り調べに16日に続いて応じなかった。弁護団は「初日に基本的な立場を十分明らかにした。一問一答に答える必要がない」と説明した。尹氏は拘束された15日に戒厳の正当性を一方的に主張したが、公捜処側の質問には一切答えなかった。 起訴された軍や警察の幹部が戒厳前後の尹氏の言動について供述しており、公捜処は、尹氏の容疑を裏付けられると判断しているもようだ。

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