【社説】米軍PFAS 汚染源隠しは許されない

国民の健康よりも米軍に配慮する姿勢があからさまで、看過できない。政府に明確な説明を求める。 沖縄県の米軍嘉手納基地や普天間飛行場の周辺などで、有害な有機フッ素化合物(PFAS)が検出された。汚染源について、米側が基地由来が「強く推測される」と日本政府に回答していたことが明らかになった。 防衛省はこの事実を公表していない。県が汚染源特定のために基地への立ち入りを申請したのに対し、米側が拒否したことだけを2025年12月に発表している。あまりに不誠実な対応だ。 PFASは水や油をはじく特性があり、消火剤や食品包装紙に使われていた。発がん性が指摘され、全国で水質汚染が問題になっている。 沖縄県では10年ほど前、嘉手納基地近くで45万人に水道水を供給する北谷(ちゃたん)浄水場の水源である川や地下水から高濃度で検出され、問題が表面化した。県は汚染された水源からの取水を抑制し、PFASの吸着施設を導入した。 他の米軍基地周辺でも国の暫定目標値を上回る濃度のPFASが検出され、浄水器を設置した住民もいる。原因が分からないままでは不安が増すばかりだろう。 県は汚染源が米軍基地である蓋然(がいぜん)性が高いと判断し、16年以降、基地への立ち入りを何度も求めた。米側は日本政府に拒否回答する際、汚染源の可能性を伝えたという。 理解できないのは、県への回答文書を日米両政府で調整し、基地由来が「強く推測される」という部分を削除したことである。何のために隠したのか。 木原稔官房長官は事実が判明した後の9月の記者会見で「米側とのやりとりの詳細については答えを差し控える」と説明を避けた。 健康被害を心配し、原因究明を求める沖縄の人々に背を向け続けるのは許し難い。 日米両政府は基地一帯を調査し、有害物質と汚染源を突き止め、健康リスクへの対策を早急に示してほしい。 沖縄だけの問題ではない。岩国(山口県)や三沢(青森県)などの米軍基地周辺でも高濃度のPFASが検出されている。 横田基地(東京都)では、政府と地元自治体が立ち入り調査をしている。なぜ沖縄県と違い、調査が可能になったのか疑問が残る。 そもそも日米地位協定で、基地への立ち入りが制限されていることが問題だ。 那覇市で今月、米海兵隊員が日本人女性への強盗殺人容疑で逮捕された。基地外で身柄を確保されたため、地位協定の規定によらずに刑事手続きが進んでいる。 地位協定は米軍基地、米兵がもたらす問題や事件の解明をことごとく阻んできた。そのしわ寄せに苦しんでいるのは日本国民である。政府は地位協定の抜本改定に踏み切るべきだ。

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