(舛添 要一:国際政治学者) 1年3カ月にわたってハマスとイスラエルの間で戦闘が続いているガザで、19日から停戦することが決まった。この合意に至った背景は何か。そして、この停戦が恒久的なものとなるためには何が必要なのか。 ■ 3段階の停戦 仲介の労をとってきたカタール政府は、1月15日に、同月19日から6週間停戦すること、この期間にハマスが33人の人質を解放し、イスラエルは刑務所に収容中のパレスチナ人数百人を釈放すること、イスラエル軍がガザの人口密集地域から撤退することが決まったと発表した。イスラエル軍撤退後、住民が帰還し、人道支援物資の搬入・配布が拡大されるという。 停戦と人質解放は3段階で行われる。今回が第1段階で、第2、第3段階については協議を続けて、恒久的な停戦につなげたいとしている。停戦の履行を確実なものとするため、カタール、エジプト、アメリカからなる監視チームをカイロに置くことも決まった。 第2段階では、ガザ地区から全てのイスラエル軍が撤退し、残る人質全員が解放され、停戦は恒久的なものとなる。 第3段階では、死亡した人質の遺体がハマスからイスラエルに引き渡され、ガザの復興が始まるという。 終わりない戦闘に、やっと光明が見えてきたという感じである。 この急展開の背景には、アメリカの政権交代、ヒズボラの弱体化、シリアのアサド政権の崩壊などがある。