■地域を揺るがした連続放火事件と裁判の行方北海道江別市で2026年2月、イスラム教の礼拝所(モスク)やパキスタン人が経営する会社事務所などが相次いで標的となった連続放火事件は、地域社会に大きな衝撃を与えました。《2回シリーズの前編》建造物侵入や非現住建造物等放火などの罪に問われた千歳市の農業・石井遼太郎被告(37)に対し、札幌地方裁判所(渡邉史朗裁判長)は10月29日、拘禁刑6年6か月の実刑判決を言い渡しました。インターネット上の投稿に影響され、身勝手な犯行に及んだ石井被告は、裁判を通じて、自らが引き起こした重大な罪とどう向き合っていったのでしょうか。■事件の背景にある地域住民の評価とネット上のデマ事件の舞台となった江別市やその周辺には、大規模な中古車オークション会場が複数あり、仕入れや輸送の利便性から、中古車輸出ビジネスに携わるパキスタン人の住民が増加していました。地元住民からは「フレンドリーでいいお客さん」「特に問題も起こっていない」といった好意的な受け止めが大半を占め、警察でも治安を乱すような事案は確認されていませんでした。しかし、インターネット上では事実と異なる「不法移民」などといったデマや偏見を煽る投稿が拡散し、波紋を呼んでいました。■初公判で明かされた短絡的な動機とチェーンソー紛失石井被告は、2026年2月、江別市内のパキスタン人が経営する会社事務所兼住宅やイスラム教の礼拝所(モスク)などに侵入し、ガソリンを主成分とする混合油が入ったペットボトルで着火させるなど、建造物侵入と非現住建造物等放火、放火未遂の3件の罪で起訴されました。9月24日に開かれた初公判には、白いシャツに黒いズボン姿で出廷した石井被告は、渡邉史朗裁判長から起訴内容に間違いがないか問われると、「間違いありません」と認めました。検察は冒頭陳述で、石井被告が犯行に至った経緯を次のように指摘しました。石井被告は約7〜8年前、勤務していた農場に無断で立ち入った外国人と口論となり、外国人に対し嫌悪感を抱くようになりました。2025年秋ごろからは動画共有サイトで江別市内の外国人に関する動画を目にするようになり、2025年12月には現地を訪れて後に放火する会社や礼拝所の場所を把握。