ベラルーシ大統領選 反体制派封殺で強権ルカシェンコ氏が7選へ

ロシアの同盟国ベラルーシで26日、大統領選が実施される。民主主義の形骸化が進み、強権統治を30年以上続ける現職ルカシェンコ氏の7選が確実だ。政権は2020年8月の前回選挙では、不正を訴える市民らの大規模デモを弾圧した。今回は有力な対抗馬を完全に排除して選挙戦に臨み、圧勝で「国民の信任」を演出したい狙いとみられる。野党指導者からは「偽りの選挙だ」と批判の声が上がっている。 今回の大統領選では、ルカシェンコ氏のほかに、国会議員ら男性3人と実業家の女性1人が立候補した。政権に批判的な立場をとる候補はおらず、対抗馬は事実上不在だ。 ルカシェンコ氏は1994年から政権の座に君臨し、「欧州最後の独裁者」とも称される。前回選挙では、政権批判で人気を集めた映像ブロガーのセルゲイ・チハノフスキー氏が出馬を模索したが事前に逮捕され、代わって立候補した妻のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏が支持を広げた。 中央選管はルカシェンコ氏の6選を発表したが、不正を訴える10万人規模の抗議デモが連日続き、治安部隊が鎮圧に動いた。チハノフスカヤ氏は選挙後、隣国リトアニアへの出国を余儀なくされた。 前回選挙前のルカシェンコ氏は、経済面などで自国に強い影響力を持つロシアとのバランスを取るため、欧米との関係構築に動いていた。だが、選挙後の市民への弾圧を巡り、批判する欧米と対立した。 政権発足以降で最大とみられる国内での抗議活動の高まりを受け、ロシアに再接近し、軍事援助などを求めた。プーチン露政権はルカシェンコ氏への支持を表明し、政治危機を利用してベラルーシへの影響力を拡大。現在に至る両国の関係強化のきっかけとなった。 ロシアが22年2月にウクライナへの「特別軍事作戦」を開始して以降は、ベラルーシはこれを支持し、露軍の拠点にもなっている。一方で援軍は送っていない。 ロシアの在外・独立系メディア「メドゥーザ」は、ベラルーシでは厳しい言論統制などによって、前回選挙以降の約4年半で数万人が拘束され、数十万人が国を離れたと批判。また、今回の選挙では、再び大規模な抗議活動が起きないよう政権が「あらゆる努力」をしていると指摘する。 国外で野党指導者としての活動を続けるチハノフスカヤ氏は21日、ロイター通信のインタビューで、ルカシェンコ氏について「いかなる民主的正当性もない」と述べ、選挙は「偽りだ」と非難した。【モスクワ山衛守剛】

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