韓国・大統領選の世論調査「仮想対決」で人気ない野党・李在明氏 澤田克己

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による昨年12月の「非常戒厳」で急落した韓国与党・国民の力の支持率が持ち直している。韓国では大統領選での与野党候補の一騎打ちを想定した「仮想対決」調査が盛んなのだが、こちらでも与党側の追い上げが目立つ。最大野党・共に民主党の最有力候補と目される李在明(イ・ジェミョン)代表に対する根強い拒否感が背景にあり、支持する党派に基づく社会分断の深刻さが改めて示された形となっている。 ◇1月末に与野党の差縮まる 「仮想対決」では、次の大統領選が与党のA候補と野党のB候補という組み合わせだったら、どちらに投票するかを聞く。今回の場合、野党候補を李代表と仮定し、複数の与党有力者の組み合わせという調査になる。選挙結果を予測するというよりは、調査時点での雰囲気を見るような調査だ。 昨年末に行われた韓国紙・東亜日報の調査では、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長、洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長、韓東勲(ハン・ドンフン)前国民の力代表という与党側の有力者3人それぞれと李代表の一騎打ちが想定された。この場合、誰を相手にしても李代表は50%近くの支持を集めた一方、与党側の3人は最高でも21.9%の支持にとどまった。ダブルスコア以上の大差だ。日本メディアの多くが「尹大統領が早期に罷免されれば、次期大統領の最有力候補は李代表」と報じていたのは、こうした空気が背景にある。 ところが1月末の旧正月連休を前に韓国メディア各社が報じた世論調査では、状況が随分と変わってきた。与党側で金文洙(キム・ムンス)元京畿道知事を加えた4人との仮想対決という朝鮮日報(1月24日付)調査では、李代表が4割弱、与党の4人は23~29%と差が縮まっていた。中央日報(1月27日付)では差がさらに縮まり、呉市長か洪市長を与党候補とした場合、李代表のリードは誤差の範囲内でしかないという調査結果となった。 ◇尹氏への理解が広がっているとは言えない

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