第97回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされている衝撃のサスペンススリラー『聖なるイチジクの種』。この度、イラン人監督モハマド・ラスロフが逮捕される危険を避けるため、撮影現場に入らず、オンラインで参加した撮影当時の過酷な状況について明かしたインタビュー映像が解禁された。 これまで手掛けた数々の作品がイラン国家に対して“反政府的”だとして、逮捕・投獄されてきたモハマド・ラズロフ監督。 本作撮影時も、警察に踏み込まれる恐れがあり、その場合はスタッフやキャストたちにも危険が及ぶ可能性が高かったため、自身が撮影現場に入ることができなかったことが多かったと言う。 「近くにいて、オンラインで、撮影見ていたことも」「全てが制約に縛られていた」と当時の状況を述べつつ、ほかにも脚本を書くときは常にこの“特殊な事情”を考慮しながらストーリーを作っていたことや、ある家のセットの中にどうしても“独房“のような場所を作りたかった理由、「国境を越え、さまざまなジャンルを融合させることを意識」したことを明かす。 「批評家から非難されるかもしれないと思いながらも私はそれを大いに楽しみました、この自由さが私には楽しかった」とふり返り、そして「この映画が完成することはないだろうとよく自分に言い聞かせていました だから自分の好きなように自由に物語を語るべきだと思いました」と当時の覚悟を明かしている。 結果、本作撮影後に懲役8年、鞭打ち、財産没収の実刑判決を受けた監督は、2024年にイラン国外へ脱出を決意。28日間かけてカンヌ国際映画祭に足を踏み入れ本作のプレミアに参加、審査員特別賞を受賞するという快挙を成し遂げている。 『聖なるイチジクの種』はTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開中。