10数年前に放送された懐かしドラマならではのお楽しみの一つが、トップ俳優の懐かしい姿が垣間見られること。現在FOD・TVerにて順次無料配信中の堂本剛主演ドラマ「33分探偵」(2008年、フジテレビ系)もその一つ。3月3日(月)まで無料配信中の第9話では、「セカンドバージン」(2010年、NHK総合)でブレイクする前、テレビドラマに活動の場を広げた直後の長谷川博己がゲスト出演している。(以下、ネタバレがあります) ■第9話は資産家殺人…「船上殺人をもたす」内容は? 「33分探偵」は、福田雄一が脚本・メイン演出を務め17年前にフジテレビ「土曜ドラマ」枠で放送された“脱力系シチュエーション推理劇”で、毎回の事件発生から解決までを同枠の本編尺である“33分”間で描く。とはいえ、大田原警部(高橋克実)が鞍馬六郎(堂本剛)のもとに持ち込む事件はほとんどが開始数分で解決してしまうシンプルなもの。それを六郎が、本編尺を“もたせる”ために突拍子もない推理でどんどん複雑化させていく、というのが本作のコンセプトだ。 第9話「船上殺人をもたす」では、正真正銘の殺人事件が描かれている。懸賞で当てた豪華ランチをお目当てに客船ロイヤルウイング号に乗り込んだ六郎と助手のリカコ(水川あさみ)、大田原。3人は、船内の密室で起きた資産家殺人事件に遭遇する。返り血を浴びたいかにも怪しい男がすぐに逮捕されるが、それでは事件が5分ともたずに終わってしまう。六郎は自白する男を犯人じゃないと断言し、被害者の家族に疑いの目を向けた。 ■2020年大河ドラマ「麒麟がくる」で主演 その過程で容疑者のひとり扱いされる被害者の長男・総一郎を演じているのが長谷川だ。 長谷川といえば2010年に放送された大人の恋愛ドラマ「セカンドバージン」で年上女性と恋に落ちる実業家を演じ、大ブレイク。その後、民放初主演ドラマ「鈴木先生」(2011年)で演じた理屈っぽい中学校教師も人気で作品は映画化。その後もNHK大河ドラマ「八重の桜」(2013年)とNHK連続テレビ小説「まんぷく」(2018年)で主人公の夫役という重要なキャラクターを演じ、2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」では主人公・明智光秀を熱演した。 「セカンドバージン」をきっかけに、怒涛の快進撃で国民的俳優のひとりに上り詰めた長谷川だが、「33分探偵」に出演した当時は、それまで所属していた文学座を退座し、活動の場をテレビ・映画に移した直後。 六郎のめちゃくちゃな推理に顔をしかめながら「ダイイングメッセージに似顔絵なんて書くか!そして微妙に似ていない」「そもそもそんな巨大な鏡は今存在しないじゃないか」とツッコミを入れる、コミカルな役まわりを演じている。 「麒麟がくる」で見せた誠実かつ毅然とした主人公キャラももちろんカッコいいが、「鈴木先生」や「まんぷく」、それに2015年の“月9”ドラマ「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ系)でも見せた、まじめな顔でとぼけたことを口にする変人キャラも長谷川ならではの味。「33分探偵」の総一郎もそんな長谷川ならではの味が発揮された、なんとも気になる存在に仕上がっている。第9話にはこのほか、岡田義徳や迫田孝也も出演。第8話には、テレビで活動を始めたばかりのムロツヨシがゲストとして登場している。 「 浸れ、超自分的ドラマ生活。」では「33分探偵」(2008年)のほか、人気ドラマを順次、FOD・TVerにて無料公開中。現在は、イヤミスの女王・湊かなえ脚本×長澤まさみ主演のミステリー「高校入試」(2012年)、上戸彩主演でキャビンアテンダントを目指すヒロインの奮闘を描く「アテンションプリーズ」(2006年)、1966年の青春ドラマを妻夫木聡、瑛太、満島ひかりらでリメイクした「若者たち2014」(2014年)などがラインナップされている。