北海道・紋別空港「タッチ」促進策3月末で終了 汚職・コロナ禍終息で利用者減

【紋別】市は、オホーツク紋別空港の全日空(ANA)羽田線を同日往復搭乗する「紋別タッチ」の利用者に向けたサービスを3月末で終了すると発表した。新型コロナ禍の終息で役割を終えたというのが表向きの理由だが、事業を主導していた元紋別観光振興公社副社長が市の汚職事件で逮捕されてから利用者は減少していた。紋別便の搭乗者数の維持に貢献し、道内外から注目を集めたサービスがひっそりと幕を下ろすこととなった。 紋別タッチは2021年9月、紋別空港の搭乗業務を担う紋別観光振興公社が仕掛けた。ステッカーやTシャツ、記念品を配り、タッチの回数を示すパネルを空港内に掲示するなどの取り組みを展開。タッチの利用促進につなげてきた。紋別での滞在時間は30分程度しかないが「マイル」などをためることを目的に搭乗する客層(通称・修行僧)に受け、21、22年度の2年間で延べ約9千人がタッチを利用。コロナ禍の羽田紋別線の維持に大きな役割を果たし、ブームはテレビや雑誌でも取り上げられた。 しかし人気の最中の22年12月に企画に携わった公社副社長が市の「避暑地化」構想を巡る汚職事件で逮捕され、雲行きが変わった。23年2月からは市が事務局を務める「オホーツク紋別空港利用促進協議会」と第三セクター「オホーツク紋別空港ビル」が協力して公社から事業を引き継ぎ、タッチの申告者に月替わりのステッカーや利用回数に応じた記念品を配ってきた。それでも事件の影響は回避できず、コロナ禍終息に伴う搭乗者数の回復も重なり、現在はタッチ利用者がほとんどいない。 取り組みは3月末で終え、公社時代に製作した記念で、空港内に掲示していたタッチ利用者の名前入りパネルも外すことを決めた。市観光空港対策室の川代悦矢参事は「タッチ利用者や関係者にはコロナ禍の路線維持につなげてもらい大変感謝している」と話す。

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