米大学で抗議デモに参加の学生、国土安全保障省が身元特定 パレスチナ人学生逮捕に続き

(CNN) 昨年、全米の大学に広がったイスラエルとハマスの戦争に対する抗議デモをめぐり、米トランプ政権は11日、国土安全保障省(DHS)が収集した情報を使ってデモの参加者を突き止めると発表した。コロンビア大学で行われたデモをめぐっては、数日前にパレスチナ人の大学院生が連邦当局に拘束されている。 ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は11日の記者会見で、DHSについて「我が国のカレッジや大学でそうした行為や活動にかかわった者、特に違法行為にかかわった者を突き止めている」と説明。DHSが逮捕に利用しているという情報について、それ以上の詳細は明らかにしなかった。 レビット報道官は、DHSからコロンビア大学に学生の名簿を提示しているとした上で、「コロンビア大学は、ハマス寄りの活動に関与した人物の氏名を渡されている。だが彼らはDHSに協力してそうした人物を特定することを拒んでいる」と述べ、「大統領が昨日言明した通り、大統領はそれを容認しない。米国の全カレッジと大学が、政権の政策に従うことを期待する」とした。 親パレスチナの学生活動家マフムード・カリルさんは、連邦当局によって8日に逮捕された。レビット報道官はカリルさんが抗議運動を組織したとして非難。「大学のキャンパスで講義を妨害し、ユダヤ系米国人の学生に嫌がらせして自分たちのキャンパスで身の危険を感じさせただけでなく、ハマスのロゴが入ったハマス寄りのビラを配った」と主張した。 カリルさんは昨年12月にコロンビア大学の修士課程を修了。グリーンカード(永住権)を持っていたが、弁護士によると、グリーンカードはトランプ政権によって失効させられた。 レビット報道官もDHSも移民税関捜査局(ICE)も、カリルさんや学生が違法行為にかかわったことを裏付ける根拠を示していない。ルイジアナ州にあるICEの留置施設に移されたカリルさんが何らかの罪で訴追されたのかどうかは不明。 レビット報道官は「マフムード・カリルはこの国に来て我が国有数の名門大学で学ぶという特権を与えられながら、その機会、その特権を利用してテロリストに味方した」と主張している。 裁判所の書面によると、カリルさんは逮捕の前夜、コロンビア大学のカトリーナ・アームストロング暫定学長に送ったメールの中で、自分に「テロの脅威」という虚偽のレッテルが貼られて強制送還される恐れがあると訴え、法的支援などの保護に協力してほしいと求めていた。 カリルさんの妻(米国籍の保持者、妊娠8カ月)は11日に声明を発表し、「米国の移民当局が私の魂を引き裂いた。彼らは夫に手錠をかけ、覆面パトカーに押し込んだ」と訴えた。「私は2人の初めての子どもを迎えるために子ども部屋を整えたりベビー服を洗ったりする代わりに、アパートの部屋に座り、マフムードが留置施設から私に電話をかけるチャンスをいつ与えられるだろうと考えている」 レビット報道官は11日の記者会見で、政権は移民国籍法に基づきカリルさんを拘留する方針に傾いていると述べ、マルコ・ルビオ国務長官には「アメリカ合衆国の外交政策と国家安全保障上の利益に敵対する人物のグリーンカードやビザを取り消す権限がある」と強調した。 カリルさんの逮捕に対して全米で抗議デモが相次いでおり、ニューヨークで10日と11日に行われたデモには数百人が集まった。 11日にはニューヨーク市内の道路がデモ隊に封鎖され、ニューヨーク市警が少なくとも13人を逮捕した。

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