交通事故後に搬送された静岡県島田市の病院で看護師に暴行し軽傷を負わせたとして、傷害の疑いで逮捕された女優・広末涼子(44)が16日、処分保留で釈放された。午前6時20分ごろ、留置先の浜松西署を出た広末は報道陣に向け一礼。迎えの車に乗り込み、同署を後にした。被害者とは示談が成立。所属事務所はコメントを発表。今後は「医療機関で診断を受けた上で、医師の指導の下、慎重に治療と健康回復に努める」とした。 ◇ ◇ 弁護士法人「ユア・エース」の正木絢生弁護士が16日、デイリースポーツの取材に対応。釈放された広末の今後を分析した。 午前6時20分頃という早朝での釈放。芸能人の釈放としては珍しい時間帯とも言えるが、正木弁護士は「釈放される人の名誉を考えて、周囲に人のいない時間帯に釈放するという配慮も行われています」とし「特に異例というわけではないと考えられます」とした。 広末容疑者の今後については「不起訴となる可能性は比較的高い」と分析。理由の一つに被害者との間で示談が成立していることを挙げ「傷害罪は、個人の身体の安全を保護する類型の犯罪。そのため、負傷の程度が軽く、被害者の方が示談に応じている場合には、被害者の意思を尊重し、刑罰を求める必要性は低いと判断されることが多い」と説明した。 さらに、勾留期限前に釈放されたことで「検察としては必要な証拠の収集が完了しており、さらなる取り調べや証拠保全の必要性がないと判断された可能性がある。以上の点を踏まえれば、不起訴の可能性は高い」と続けた。 捜査の過程では、危険運転致傷の疑いで都内の自宅の家宅捜索を行った。今後、同容疑で再逮捕される可能性については「低いと考えられる」と予想。「危険運転致傷罪は、アルコールや薬物の影響によって正常な運転が困難な状態で運転し、人にけがを負わせた場合に成立する犯罪」と前置きし「報道によれば、家宅捜索で違法薬物が発見されず、薬物検査でも陰性だったとされていることから、薬物の影響があったとは言い難く、危険運転致傷罪が成立する可能性は低いと思われる」と立件の要件を満たしていないとした。 さらに「今回の捜査は静岡県警が担当しており、仮に再逮捕を行う場合は、広末氏の東京都内の自宅まで出向いて再度逮捕する必要がある」と説明。「もし危険運転致傷罪による再逮捕を検討していたのであれば、傷害事件による勾留中にそのまま再逮捕するのが通例なので、今回釈放されたという事実は、警察・検察としても再逮捕を予定していないことを示唆していると考えられる」とした。