「僕のヒーローアカデミア」の公式スピンオフ作品「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」(毎週月曜夜11:00-11:30、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)の第2話が4月14日に放送された。“抹消ヒーロー”イレイザーヘッドが、ナックルに“個性”を違法使用した疑いをかける。ところが、ナックルには“個性”を消す「抹消」が効かない。そのことから明らかになったナックルの秘密に視聴者から驚きの声が上がった。(以下、ネタバレを含みます) ■「ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」 「ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」は、古橋秀之の脚本、別天荒人の作画で2016年から2022年までマンガアプリ「少年ジャンプ+」(集英社)にて連載された、「僕のヒーローアカデミア」(通称、“ヒロアカ”)の正史に連なる公式スピンオフ作品。 “ヒロアカ”本編で描かれた物語から数年前の日本を舞台に、人々に認められ活躍する<ヒーロー>の裏側で、誰にも認められずとも誰かを救わずにはいられない非合法(イリーガル)ヒーロー<ヴィジランテ>たちのドラマが展開される。 今回のアニメ化にあたっては、監督を鈴木健一、シリーズ構成・脚本を黒田洋介、キャラクターデザインを吉田隆彦、音楽を林ゆうき、山城ショウゴ、古橋勇紀が担当。アニメーション制作は「僕のヒーローアカデミア」同様ボンズフィルムが務める。 ■イレイザーヘッドの「抹消」が効かないナックルの秘密とは? 不良に絡まれていたところを、「クズ専門の“掃除屋”」を名乗るナックルダスター(以下、ナックル/CV:間宮康弘)に助けてもらった灰廻航一(以下、コーイチ/CV:梅田修一朗)。ナックルに“ヒーロー”としての素質を見出されたコーイチは、非合法に人々を助ける自警団<ヴィジランテ>の活動に巻き込まれていくのだった。 さっそく、コーイチは使用者の“個性”を極端化(ブースト)させる違法薬物“トリガー”の手がかり探しを手伝わされるはめに。しかし、街で手荒な聞き込みをしていたナックルは“抹消ヒーロー”イレイザーヘッド(CV:諏訪部順一)から敵<ヴィラン>と疑われてしまう。 さすがのナックルも大人しくするかと思いきや、ヒーロー相手に喧嘩を仕掛け、呆気に取られるコーイチ。一方、ポップ☆ステップ(以下、ポップ/CV.長谷川育美)はコーイチが善良な市民と判断し、ナックルから逃がしたオモチャ営業のサラリーマン・久々津真理夫(CV:近藤孝行)の走り去る背中に違和感を覚える。どこかで見たかと思えば、久々津はヴィラン騒ぎの現場にいつも現れていた男だった。 すぐにコーイチが追いかけようとしたところ、仕返しにやってきた釘崎爪牙(以下、ソーガ/CV:鳥海浩輔)たちの妨害に遭う。そんなコーイチを救ったのは、イレイザーヘッドから解放されたナックルだ。彼がお咎めなしとなったのは、自身が視た人間の“個性”を消すことができるイレイザーヘッドの“個性”「抹消」が効かなかったから。 つまり、ナックルが“無個性”であることが判明し、「嘘だろ…?」「ただ強くて頑丈なだけの無個性のおじさんかい!」「無個性であの強さはナックルのこれまでを想像するだけでなんとも…」と視聴者を驚かせた。 ■咄嗟の状況で溢れたコーイチの本音 その頃、ポップが追いかけていた久々津は人形に偽装した注射器の“トリガー”を使用。巨大化の“個性”をブーストさせて大型ヴィランに変身すると、ポップを鷲掴みに。すると、どこからか紐で吊り下がった状態で現れたナックルが大型ヴィランに体当たり。よろけた拍子にその手からポップが離れる。 ポップの“個性”は高く飛び上がれる「跳躍」だ。しかし、足場がないと飛び上がれないため、このままだと地面に叩きつけられると咄嗟に判断したコーイチは“個性”「滑走」でビルを移動し、ポップを救いに向かう。頭に浮かぶのは、なぜナックルの活動に付き合っているのかというポップからの問いだ。その答えに、コーイチの本音が詰まっている。 「答えはやっぱり、“ヒーロー”になりたいから。いまさら、プロになんかなれっこない。わかってる。でも、ほんの一瞬でいい。俺だって飛びたいんだ!」 そして自身が足場となってポップを「跳躍」させると、ナックルにならってゴミ捨て場に自分の身を投げ、無事に地上へ。大型ヴィランに踏みつけられそうになったが、間一髪のところでイレイザーヘッドの「抹消」に助けられるのだった。 ■“ヒロアカ”でもお馴染みの警察官が登場! 久々津やソーガ達も逮捕され、事態は一件落着。「あんたらのヒーローごっこは危険すぎる」とイレイザーヘッドに指摘されたナックルは、「今回の巨大ヴィランやチンピラどものような連中を、俺たちなら奴らが悪さをする前にぶちのめせる」と自警団<ヴィジランテ>の存在意義を語る。かなりグレーな考え方だが、そこには彼なりの正義があるのだろう。 そんなナックルから「咄嗟に出る言葉や行動。つまりそれがお前の本音だ。自覚しろ。ヒーロー志願」と説得され、コーイチは本格的に<ヴィジランテ>の活動を手伝うことに。 晴れて(?)、師匠と弟子の関係となった2人だが、その関係はあまりにチグハグ。喧嘩していた中学生、佐間津一目(CV:奥田寛章)と浪丸十兵衛(CV:勝杏里)の仲裁に入ったが、“親切マン”として顔が知られているコーイチは舐められっぱなしで逆にボコボコ。一方、「スカッとするから」という理由で話を聞く前から相手を殴ろうとするナックル。結局は佐間津と浪丸が大ファンであるポップが出てきて、その場を収める。 そんな中、悲鳴が聞こえ、コーイチが現場に駆けつけると、体を固める「硬化」の“個性”を“トリガー”で極端化(ブースト)した岩甲晶(CV:小上裕通)が街で暴れていた。コーイチは危険に晒された赤ん坊を救出すると、ナックルと岩甲を挟み撃ちに。岩甲がコーイチに気を取られているうちに、ナックルがすかさず攻撃を仕掛け、大人しくさせる。性格も手段も正反対だが、なんだかんだで息ぴったりな2人だった。 コーイチたちは岩甲を拘束した上で速やかに退散。その後、通報を受けて現場に駆けつけたのは、“ヒロアカ”でもお馴染みの警察官、塚内直正(CV:川島得愛)と玉川三茶(CV:古島清孝)だ。巷で話題になっているナックルとコーイチによる仕業と気づいた塚内は「法律ってものがあんだ。相手がヴィランだろうが何だろうが、個人による私刑行為は犯罪だよ」と苦言を呈す。現代にも通ずる「法と秩序」の問題。果たしてコーイチたちの行いは正義として社会に認められるのだろうか。 ■文/苫とり子