首都圏で相次ぐ一連の強盗事件をめぐっては、実行役らがSNSの「闇バイト」などで集められていたとされるが、ごく普通のアルバイトを装い巧妙に犯罪に引き込む実態が浮かんでいる。 ■「日当5万円」 「ホワイト案件という投稿から指示役につながった」。横浜市の強盗殺人事件で逮捕された宝田真月容疑者(22)は神奈川県警の調べにそう供述。「短期間で稼げるバイト」をSNSで探す中で見つけたという。 アルバイト情報検索サイト「バイトル」の運営会社の担当者は、闇バイトの特徴について「単純労働をうたう割に日当5万円など一般的な相場とかけ離れた金額が提示されているケースが多い」と明かす。 SNSでは«電話をかけるだけ»«物を運ぶだけ»など、高収入、短時間、簡単な作業をうたう募集が多い。«たたき»(強盗)、«受け»(受け子)、«出し»(出し子)などの隠語が含まれることもあるとされる。 バイトルなど大手サイトの多くは、厳格な掲載基準を設けており、こうした闇バイトを排除。このため、多くはSNS上で「募集」が行われているとみられる。 ■個人情報の提示に注意 闇バイトでは、応募者に対し、運転免許証や履歴書といった個人情報の提示を求めるが、バイトルの担当者は「一般的な企業では面接を経ずに提示を求めることはない」と話す。 いったん個人情報を握られると「自宅に押しかける」「母親から狙う」などと脅されて、犯行に加担するように求められる。警察庁生活安全企画課の阿波拓洋課長は「たとえ強要されていても強盗などへの加担は犯罪に変わりなく、重い罪に問われることになる」として、すぐに警察に相談するように促す。 警察庁は18日、X(旧ツイッター)に闇バイトからの脱退を促し、身の安全の保障をうたう異例の呼びかけ動画を公開。阿波課長は「一度加担してしまっても、さらに罪を重ねたり大きな罪を犯したり前に引き返し、出頭してほしい」と訴えている。(外崎晃彦)