外国で取得した運転免許証を日本の免許証に切り替える「外国免許切替(外免切替)」という手続きが大きな問題となっています。比較的簡易な方法で日本の免許証を入手できるとあって、一時滞在の外国人が切替手続きに殺到。日本の免許証を取得した後に事故・事件を起こす人も急増しました。警察庁は手続きを厳しくする方針を打ち出しましたが、問題は解決するのでしょうか。やさしく解説します。 (フロントラインプレス) ■ 外免切替に「制度の抜け穴」が… 外国人が日本で車を運転するためには、主に3つの方法があります。 1つは、日本で公安委員会指定の自動車教習所に通い、卒業する方法。これは日本人と同じ通常の方法で、一般には30万円前後の費用を必要とします。 2つ目は、国際運転免許証の取得です。ジュネーブ道路交通条約に基づく制度で、米国やEU諸国、アジア各国など条約に加盟する100余りの国・地域で運用されています。ただし、ジュネーブ条約に加盟していない中国やベトナムなどの国民は、この国際免許証を取得できません。これとは別に、適用国はわずかですが、6つの国・地域(スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾)で発行された免許証に、日本政府が認めた機関による日本語の翻訳文を付けて日本国内で有効な免許証にする方法もあります。 そして、3番目が外免切替です。 外免切替の制度は、外国の免許証を持ち、日本の試験場で運転に必要な知識や技能を有していると確認できれば、日本の運転免許証に切り替えることができる仕組みです。手続きは容易で、希望者は(1)外国で取得した運転免許証、(2)パスポート、(3)日本での居住場所を示す書面(住民票や一時滞在許可証など)といった必要書類をそろえて、各都道府県の公安委員会(運転免許センター)で申請。知識や技能の検査を経て、合格すれば日本の免許に切り替えることができるのです。 とくに「制度の抜け穴」とされたのが、(3)の居住地確認の仕組みでした。外国人の場合でも日本に90日以上滞在する場合は住民登録が必要ですが、外免切替の場合、住民票による居住地確認は必須事項ではありません。ホテルなどが発行する一時滞在許可証でも手続きは可能となっているため、観光ビザで入国する外国人であっても免許の切替が可能になるのです。 そうした事情を背景として、この制度の利用者は急増してきました。