鈴木馨祐法相が29日、2024年に静岡地裁の再審(やり直しの裁判)で無罪となった袴田巌さん(89)の姉ひで子さん(92)と国会内で面会した。ひで子さんや立ち会った支援者によると、法相は袴田さんの法的地位が長期にわたり不安定な状況に置かれてきたことについて「心からおわび申し上げる」と謝罪した。 鈴木宗男参院議員の国会事務所で15分ほど対面。ひで子さんの労苦についても触れ、法相は深々と頭を下げた。ひで子さんは取材に「大臣に会えると思っていなかったので、突然のことでただただ驚いた。丁寧に謝ってくれた」と話した。 ひで子さんは30日午前、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の見直しについて検討している法制審議会(法相の諮問機関)の専門部会で、ヒアリングを受ける。 一方、超党派の国会議員連盟は今国会での法改正を目指しており、ひで子さんは議員立法による速やかな改正実現を要望してきた。 袴田さんは1966年、現在の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で逮捕・起訴され、80年に死刑が確定した。一貫して無実を訴え、逮捕から58年がたった2024年9月に再審無罪判決が言い渡された。 無罪の確定を受け、同年10月、県警本部長が浜松市内の袴田さん宅を訪ね、直接謝罪。11月には静岡地検の検事正も謝罪している。