「SOS出したのに」養護施設で職員から性虐待 女性が施設側を提訴

熊本県内の児童養護施設で中学2年から数年間、職員から性的虐待を繰り返し受けたのは施設側に責任があるとして、かつて入所していた女性(24)が26日、施設を運営する社会福祉法人(熊本市)と当時の施設長に計2200万円の損害賠償を求め、熊本地裁に提訴した。 訴状によると、女性は10歳のころに入所し、中学2年だった2014年から数年間、施設の男性職員(当時)により性的虐待を受け続けた。高校1年の時には妊娠が判明し、中絶した。職員は21年に熊本県警に逮捕され、児童福祉法違反の罪で22年に実刑判決を受け、その後確定したという。女性は、施設側は性的虐待を防ぐ義務があるのに、それを怠った責任があるとしている。 提訴後、女性は代理人弁護士と記者会見を開き、「おかしいと思っても、行く場のない私は、逆らうことができない精神状態にされていた。自分なりのSOSを出したけど、助けてもらえなかった。自分のような思いをする子がこれ以上、出ないように施設の責任も認めてもらいたい」「性被害への刑罰が軽い。被害者に寄り添う法律であるべきだ」と訴えた。女性は複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、現在も通院しているという。 社会福祉法人は「訴状が届いていないので、コメントは差し控える。訴状を見て適切に対処したい」としている。(座小田英史、林国広)

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