インターネットやコンピューターの情報技術を悪用したサイバー犯罪の増加や巧妙化に対応するため、福井県警は情報処理技術を生かして専門的に捜査する「サイバー犯罪捜査官」を募集している。初めての試みで、容疑者の逮捕や証拠品の押収ができる警察官として採用するのが特徴。10月17日まで応募を受け付けている。 県警によると、サイバー犯罪には他人のIDやパスワードを不正に取得する不正アクセスやSNS(交流サイト)型投資詐欺、インターネット上での名誉毀損(きそん)などがある。県内のサイバー犯罪関連の相談件数は2022年2142件、23年2072件、24年2583件。摘発件数は22年67件、23件70件、24年86件でともに増加傾向にある。 今回の募集は複雑化するサイバー犯罪に対処するために、より高度な知識を持った人材を確保する狙い。警察官として採用することで、業務の効率化や迅速な捜査につながるという。 募集対象は35歳以下で、性別は問わない。応用情報技術者試験やシステム監査技術者試験といった独立行政法人「情報処理推進機構」の試験などに合格していることが条件。募集人数は若干名で、採用時の階級は年齢や経歴などに応じて決める。 11月17日に1次試験があり、論文や口述試験、体力検査などを行う。12月に2次試験を行う予定。合格者は、来年4月から警察学校に入校して警察官としての知識を身につける。 県警はサイバー犯罪捜査官の募集に向け、仁愛女子短大(福井市)に協力を依頼。警察官に扮(ふん)した恐竜がパソコンを操作しているデザインのポスターや、ウェブページを制作した。 9月1日、学生が県警本部を訪れて作品を紹介した。ポスターを制作した学生(18)は「サイバー犯罪捜査官になりたいと思う人の後押しになれば」と語った。ウェブページを作った学生(18)は「サイバー犯罪捜査官の魅力や重要性を知ってほしい」と話した。 県警サイバー犯罪対策課の今井友紀サイバー戦略室長は「知識も必要だが、何より人間味あふれる人にサイバー犯罪捜査官になってもらいたい」と話した。