前岸和田市長、落選から半年足らず談合疑い逮捕 「再び市政混乱」

官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された大阪府岸和田市の前市長、永野耕平容疑者(47)は、女性との不適切な関係などを巡って市政を混乱させたとして、市議会から2回の不信任決議を受け、2025年2月に失職した。市長在職中の新たな疑惑が浮上し、関係者の間では「再び市政が混乱するのではないか」という戸惑いや驚きが広がった。 永野前市長は府内の女性から、性的関係を強要されたとして損害賠償を求められ、大阪地裁に提訴された。24年11月、永野前市長が女性に謝罪し、解決金500万円を支払う内容で和解が成立した。和解調書によると、地裁は「女性の就職や雇用維持を左右し得る優越的な立場」だと指摘した。 和解が報じられた直後、永野前市長は「女性側から秘匿するよう求められた」などと、事実関係を明らかにしなかった。「性加害をしたとか、悪いことをしたということは絶対にない」とも主張した。 当時所属していた大阪維新の会が除名処分も辞さない構えを示すと、一転して不適切な関係を認めて謝罪した。これを受けて、維新は同年12月に離党勧告処分にとどめ、永野前市長は離党した。 しかし、和解した場合に第三者に内容を明かさない「口外禁止条項」はついていなかった。女性側の代理人弁護士は「口外禁止条項を外すことに同意するから解決金は500万円に抑えてほしい」と要望したのは永野前市長だと反論した。 その後も市議会は永野前市長を厳しく批判し、同月には「市政の混乱を招いた責任は重大だ」などとして、永野前市長に対する1回目の不信任決議を可決した。ところが、永野前市長は「大義はない」として、失職を選ばず、議会解散に踏み切った。市長の私的な問題で議会を解散するという異例の事態となった。 市議選でも議会の構成は大きく変わらず、市議会は25年2月に2回目の不信任決議を可決し、永野前市長は自動失職。4月の出直し市長選に立候補したものの、党派を超えて支援を受けた現市長の佐野英利氏(46)に大差で敗れた。 それから半年足らずで、永野前市長が在職中の談合の疑いで逮捕される事態に発展した。市議会の烏野(からすの)隆生議長は「驚いている。新しい市長になり、ようやく市政が落ち着いてきたところで、残念だと言うしかない。再び市政が混乱するのではないかと危惧している」と話した。【中村宰和、小坂春乃】

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