出生市民権の制限 → 留学ビザ規制 → 同盟国企業への取り締まり…トランプ2期目、支持層狙い反移民政策を矢継ぎ早に打ち出す

ドナルド・トランプ第2期政府が不法移民の取り締まりに強くドライブをかけ、韓国も米国の反移民政策に足を引っ張られることになった。トランプ大統領の反移民強硬路線は就任初日の今年1月20日からすでに明白だった。トランプ大統領はメキシコ南部の国境地域に非常事態を宣言して壁の建設を再開した。また、米国で不法に滞在するか、あるいは永住権を持たない外国人の親から生まれた子どもに対しては出生市民権の付与を制限する大統領令にも署名した。 間髪おかずにトランプ政府は大規模な追放を開始した。2月にはベネズエラ出身の移民約170人を、人権侵害で悪名高いキューバのグアンタナモ海軍基地に収容するというショック療法を実施した。さらに3月には、1798年に制定された「敵性国外国人法」を動員し、ギャングに関与した疑いのあるベネズエラ人約200人をエルサルバドルのテロリスト収容センターに収監した。このころには外国人留学生に対するビザ審査も大幅に強化された。 人権侵害だという内外の批判にもかかわらず、移民の取り締まりと逮捕はますます厳しくなっている。ホワイトハウスの実力者の一人であるスティーブン・ミラー大統領次席補佐官は「移民の追放が遅々として進んでいない」とし、5月21日に移民・関税執行局(ICE)の幹部を叱責した。ミラー氏はこの場で「1日3000人逮捕」という具体的な数字を提示した。トランプ2期目の最初の100日間における1日平均逮捕者数(665人)と比べると4倍を超える規模だ。最近では国土安全保障省が国境地域の鉄製フェンスに黒い塗料を塗り始めた。高い気温によって、黒く塗ったフェンスの表面をさらに高熱化させて不法入国の試みを防ごうというものだ。 トランプ政府で進められている一連の反移民政策は、不法移民の急増が米国人の職を奪い、安全までも脅かすという「MAGA(米国を再び偉大に)」陣営の認識と結びついている。トランプ大統領の強硬な支持層である「米国第一主義」を唱える人々は、移民の犯罪率を強調し、移民に対する福祉の削減などを主張する。ICEも今年6月から「年内に不法移民100万人を追放する」という目標を公式化し、取り締まりと追放の強度を高めている。これに伴い無差別的な逮捕に対する批判も提起されている。 しかし、トランプ大統領の国境警備総括責任者であるトム・ホーマン氏は7日(現地時間)に公開されたCNNとのインタビューで、最近ジョージア州の現代(ヒョンデ)自動車・LGエナジーソリューションの合作電気自動車バッテリー工場への急襲に言及し、「韓国工場への取り締まりのような大規模作戦が拡大するだろう」と明かした。また、このような作戦が「歴史上最も安全な国境をつくるのに寄与した」とも誇った。 トランプ政府は取り締まりのために収容能力の拡大策も検討中だ。テキサス州リーブス郡、ジョージア州アーウィン郡、カンザス州レブンワース郡など、様々な問題を理由に閉鎖された収容施設を再開する計画だという現地報道も出ている。いずれも民間矯正企業が運営していた施設で、過去に暴力事件、医療放置、慢性的な人員不足などの問題で閉鎖された。リーブス郡収容所は医療不備と隔離収容に反発した収容者の暴動が起きた場所だ。アーウィン郡では女性収容者に対して不必要な産婦人科手術が行われた疑惑が提起され、米議会が調査に入ったこともある。レブンワース施設は慢性的な人員不足によって暴力がはびこり、ある連邦判事が「地獄の穴」と表現するほどだったという。

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