■移民取締り強化で街の生活は「麻痺」 不法移民の大量強制送還を主要政策に掲げるトランプ政権は発足直後から、容赦のない残酷で非人道的な移民摘発や強制送還を行っている。 そのため移民の多くは逮捕を恐れて外出や仕事に行くのを控えるようになり、移民人口の多いカリフォルニア州ロサンゼルスなどでは繁華街の人通りが減り、店は閉店し、生活が「麻痺」するような所も出てきた。 地元のロサンゼルス・タイムズ紙は次のように報じている。 「7番街プロデュース・マーケットは普段は朝から野菜や果物をビニール袋に詰め込む客で賑わっていたが、店の間を歩く人影は普段よりはるかに少なかった。マーケットの駐車場は空きが多く、普段は営業している店のいくつかは閉まっていた」と(2025年6月18日)。 加えてSNSにはショッピングセンター、スワップミート(古物市)、洗車場などで、ICE(Immigration and Customs Enforcement:米移民関税執行局)捜査官が移民たちを逮捕する場面を撮影した動画があふれ、人々の不安と恐怖を煽っている。 ロサンゼルスの大司教ホセ・ゴメス氏は6月17日、ラテン系教区民が深刻なパニックを引き起こしていることに「不安」を感じていると述べた。 「人々はミサや仕事へ行かず家にとどまり、公園や家は閑散とし、多くの通りは静まり返っています。家族は恐怖から、カギのかかったドアの向こうに閉じこもっています。このような状況は偉大な国にふさわしくありません」 ■人気レストランの売上が激減 移民コミュニティがトランプ大統領の大量強制送還をいかに恐れているかを具体的に示す事例がある。 ロサンゼルスのダウンタウンやハリウッド、ベニスビーチなどラテン系移民の多い地域に10店舗を持つ人気メキシコ料理店「テディーズ・レッド・タコス」(TRT)では、トランプ大統領が1月21日に就任し、一連の移民政策を発表した翌日に全ての店舗で売上が激減したという。