大阪府岸和田市の発注工事をめぐり業者に入札情報を漏らして賄賂を受け取ったとして、大阪地検特捜部は14日、前市長の永野耕平容疑者(47)=官製談合防止法違反の罪で起訴=を別の同法違反と収賄の罪で起訴した。認否は明らかにしていない。 起訴内容は、2021年8月の水道管工事の入札で最低制限価格(約9・7億円)を市内に本店を置く建設業者の元社長に漏らし、同社を含む共同事業体(JV)に落札させた▽24年5月の水道管工事の入札でも最低制限価格(約1・3億円)を漏らし、グループ会社に落札させた▽謝礼や今後の便宜を期待する趣旨と知りながら23年5月~24年11月、大阪市内の飲食店や車の中で、3回にわたり担保なしの低金利で計1900万円を借りる「金融の利益」を得た――というもの。2人は現職の市長、社長だった。 特捜部は、21年5月の競輪場整備工事の入札で最低制限価格(約3・5億円)を漏らしたとして今年9月に永野容疑者を逮捕・起訴し、今回の容疑で再逮捕した。元社長についても捜査していたがこの日、不起訴とした。詳しい処分内容や理由については「プライバシーに関わる」などとして、明かしていない。 永野容疑者は府議を経て18年に市長となった。2期目の24年11月、政治活動で関わりのあった女性から性的関係をめぐって裁判を起こされ、謝罪して解決金500万円を払う内容で和解。市議会から2回の不信任決議を受け、今年4月の市長選で落選していた。(新谷千布美、小島弘之)