岩屋毅外相は12日の記者会見で、ハンガリー首都ブダペストで日本人女性がアイルランド人の元夫に殺害されたとする事件を巡り、現地の日本大使館が女性から生前、ドメスティックバイオレンス(DV)被害の相談を受けていたと明らかにした。「(大使館は)必要な支援を行ってきた」とした上で、「在外公館において邦人保護は最重要任務の一つ。今後ともできる限り丁寧な対応、必要な支援を行うよう、改めて指示を出したい」と語った。 現地報道によると事件は1月29日に発生。火災があったアパートの焼け跡から女性の遺体が見つかり、元夫が殺人の疑いで2月3日に逮捕された。女性は元夫からのDV被害を警察に複数回申告していたが捜査は行われず、当局が11日の記者会見で落ち度を認めて謝罪した。女性は子供2人の旅券(パスポート)を元夫に取られて帰国を阻まれていたという。 岩屋氏によると大使館は2022年6月に女性から相談を受け、警察への被害申告を促した。昨年夏ごろには子供の旅券発給について問い合わせを受け、元夫の同意が必要だと説明。その後申請はされなかったという。 岩屋氏は「DV被害に関する相談が在外公館に寄せられた場合は、個別の事情や要望等を踏まえて必要な支援をこれまでも行ってきた。今回も警察に相談するのがよいと説明し、必要な支援を行ってきた」と強調した。その上で「大使館が遺族への支援にあたっている。遺族の意向を踏まえつつ引き続き、できる限り丁寧な対応と必要な支援を行っていきたい」と話した。【金寿英】