■コーヒーを何杯頼んでいても、90分以上は難しい カフェで時々見かける「混雑時90分まで」など滞在時間を制限する貼り紙。それよりも長居することは法的にいけないことなのでしょうか。 結論から言うと、「混雑時90分まで」と店側が明示していれば、客は従わなくてはいけません。 民法には「契約自由の原則」が定められており、民間事業者の場合、ある程度のルールは事業者と利用者の間で取り決めることができます。どのような内容の契約がされるかは当事者間の意思に委ねられています。カフェチェーンなど前払いの店は、商品を買うときに契約が成立、レストランなど後払いの店は、注文をした時点で契約が成立します。契約の時点で「混雑時90分まで」に同意したものと見なされます。ここでは貼り紙で明示されていることや、店員から口頭での説明があるなど、客観的に立証できることがポイントです。 お店のスペースの使い方を決めるのは、お店に権限があります(管理者権限)。どのように営業しようと、お店の自由です。権限は店にあるのですから、「混雑時90分まで」というルールを設けても問題ありません。同様に、いわゆる「出禁」や「一見さんお断り」も基本的には問題はありません。 店が「混雑時90分まで」というルールを決めたなら、コーヒーを何杯頼むかは関係ありません。また「コーヒー1杯で何分間滞在できる」といった法的基準もありません。法律に何分間という記載をしてしまうと、すべての店が一律にその法律によって縛られてしまい、むしろお店の営業の自由を制限してしまいます。たくさんドリンクを頼んだとしても、「混雑時90分まで」という店のルールは守りましょう。 店側は、明示したことを客観的に立証するために、客が注文する前に制限時間の存在を知ることができる状態にしておく必要があります。入り口の扉やメニュー表などに記載したり、店頭に案内係がいる場合は、制限時間についてあらかじめ説明したりするなどです。テーブルに説明書きが貼ってあるなど、着席後に初めて気付く告知の仕方では、店側の落ち度と見なされる可能性が高まります。