東京都台東区の細谷美輝(よしき)ちゃん(当時4歳)が2023年、薬品を飲まされて死亡したとされる事件をめぐり、児童相談所(児相)などの対応を調べた都の検証部会が28日、報告書を公表した。けがや生活の乱れを把握していたものの、保育施設を含む関係機関の問題意識や連携が不足したまま事件が起きたことを問題視し、改善を求めた。 美輝ちゃんに関して警視庁は24年2月、薬品を摂取させて殺害したとして父親(44)と母親(38)を殺人容疑で逮捕。2人は父親の姉と両親の計3人への殺人容疑でも再逮捕された。東京地検は美輝ちゃんの事件については処分保留とし、ほかの3人の事件では殺人罪で起訴している。 都の部会は同年3月以降、児相や区の子ども家庭支援センターに経緯を聞き取り、検証した。 報告書によると、最初の関与は出産前からで、母親が精神的に不安定で支援が必要な「特定妊婦」とされ、「養育困難」として児相が対応。生後2カ月のときには面前DVがあったと警察から通告があり、兄姉とともに児相に一時保護され、解除後は主にセンターが家庭の支援を担ったという。 その後、美輝ちゃんは保育所と認可外保育施設の計6カ所を転々とし、昼夜通して預けられることもあった。22年9月からはたびたび、顔や腕にあざや傷があると保育所からセンターに報告があり、23年1月には保育施設から「眠ったまま起こそうとしてもなかなか起きない」との情報も寄せられたが、十分な対応がとられないまま2カ月後に亡くなった。 この間、センターはけがについて把握しながら、父親への電話確認にとどまり、家庭を訪問していなかった。保育所や保育施設でも「衣服が臭う」といったネグレクトを疑わせる要素について、センターへの連絡が遅れていたという。