韓国「弾劾審判」最終陳述、尹大統領「国民に申し訳ない」…「任期に執着せず、憲法改正を早急に推進」

【02月25日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は25日、弾劾審判の最終陳述で「非常戒厳」宣布(昨年12月3日)について「巨大野党の横暴を国民に知らせるための『戒厳の形式を借りた国民への訴え』」だとし、その正当性を強調した。また、ユン大統領は「国民の皆様に申し訳なく、感謝している」と謝罪の意を示しつつ、「残りの任期には執着しない」と述べ、憲法改正を迅速に推進する意向を明らかにした。 ◇「12·3非常戒厳は、戒厳の形式を借りた国民への訴え」 ユン大統領はこの日午後、ソウル市鍾路区の憲法裁判所大審判廷で開かれた弾劾審判の最終弁論期日に出席した。最終意見陳述を通じて「国民の皆様に申し訳なく、そして感謝していると、まずお伝えしたい」と頭を下げた。 ユン大統領は「12月3日の非常戒厳は過去の戒厳とは全く異なり、武力で国民を抑圧する戒厳ではなく、戒厳の形式を借りた国民への訴えだ」と強調した。 さらに「これは何よりも私自身、ユン・ソンニョル個人のための選択ではなかったことをはっきり申し上げたい。私個人の人生だけを考えるならば、政治的な反対勢力から激しい攻撃を受ける可能性のある非常戒厳を選ぶ理由は全くない」と述べた。 また「巨大野党は、私が独裁者で権力延長のために非常戒厳を実施したと主張しているが、これは内乱罪を着せようとする工作フレームだ」と批判した。その根拠として、280人の少数兵力の投入や、週末ではなく平日に戒厳を宣言した点などを挙げた。 ユン大統領は「最初からキム・ヨンヒョン(金龍顕)国防相(当時)に、今回の非常戒厳の目的が『国民への訴え用』であることを明確に伝えていた」とし「兵力投入の時間はわずか2時間にも満たないのに、2時間の内乱などあり得るのか」と反論した。 ◇「北朝鮮をはじめ、反国家勢力と連携し国家安全を脅かしている」 ユン大統領はまた、北朝鮮をはじめとする外部の主権侵害勢力と、韓国社会内部の反国家勢力が連携し、国家安全を脅かしていると主張した。 大統領は民主労総のスパイ団事件に言及し、「北朝鮮の指令に従ってゼネストをし、バイデン米大統領の訪韓反対、米韓連合軍事訓練の反対、梨泰院惨事に関連した反政府デモなどの活動を展開した」と述べ、「さらに北朝鮮の指示に従い選挙に介入した疑いも明らかになった」と強調した。 また「実際に2022年3月26日には『ユン・ソンニョル先制弾劾集会』があり、2024年12月初めまでに実に178回もの大統領退陣・弾劾集会が開かれた」とし、「これらの集会には民主労総傘下の建設労組や言論労組などが参加し、巨大野党の議員たちも演壇に立った。これは北朝鮮の指令通りに進められたのではないか」と述べた。 ◇「巨大野党、就任前から弾劾を主張…どちらが相手の権限を侵害したのか」 ユン大統領は、巨大野党である共に民主党への批判も忘れなかった。 大統領は「巨大野党は、私が就任する前から大統領の先制弾劾を主張し、相次ぐ弾劾と立法・予算の暴走で政府の機能を麻痺させてきた」と述べ、「それにもかかわらず、巨大野党はこうした暴走さえも国会の正当な権限行使だと強弁している」と批判した。 さらに「私は国会議員や職員の出入りを妨げたこともなく、国会の議決を全く妨害しなかった。わずか2時間半の非常戒厳と、政府発足後2年半もの間、相次ぐ弾劾や立法・予算の暴走で政府を麻痺させてきた巨大野党のどちらが、相手の権限を麻痺させ侵害しているのか」と述べ、野党に責任を転嫁した。 ◇「職務復帰後、再び戒厳を宣言?決してそんなことはない」 ユン大統領は非常戒厳の宣言の背景について「国政の麻痺と自由民主主義の憲政秩序崩壊を防ぎ、国家機能を正常化するため、切迫した思いで非常戒厳を宣言した」と述べ、「12月3日の非常戒厳は、国家が危機的状況や非常事態に直面していることを宣言したものだ」と主張した。 また「私が職務に復帰すれば、再び戒厳を宣言するのではないかという主張もあるが、全く根拠のない話だ。決してそのようなことはない」と強調した。 さらに、国会議員の逮捕に関する疑惑については「本当に荒唐無稽な主張だ」と一蹴し、「議員たちを逮捕して引きずり出し、戒厳の解除を遅らせたり阻止したところで、国民全員と世界が見守っている中で、その後どうしようというのか」と反論した。 ◇「残りの任期には執着しない…憲法改正が最後の使命」 ユン大統領は「残りの任期には執着せず、憲法改正と政治改革を最後の使命と考え、87年体制の改善に最善を尽くす」と述べた。 また「国民の意思を集め、早急に憲法改正を推進し、我が社会の変化に適した憲法と政治構造を生み出すために全力を尽くす」とし、「憲法改正と政治改革の過程で国民統合を実現するためにも努力する」と語った。 さらに「最終的な国民統合は憲法とその価値を通じて達成されるものだ。憲法改正と政治改革が正しく推進されれば、その過程で分裂した国民も統合されると信じている」と述べ、「そうなれば現行憲法上の残り任期に執着する理由はなく、むしろ私にとっては大きな栄誉だと考える」と強調した。 ユン大統領はまた「国政運営においては、急変する国際情勢やグローバルな複合危機を考慮し、大統領は対外関係に注力し、国内問題については首相に大幅な権限を委譲する考えだ」と明らかにした。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News

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