オンラインカジノで陥る負の連鎖「借金スパイラル」ギャンブル依存症当事者が危険性訴える(島根)

スポーツ選手や芸能人らの利用が問題となった海外の「オンラインカジノ」など、ギャンブルへの依存症が問題となっています。こうした中、ギャンブルが原因で多額の借金を負った男性が3月23日、松江市で講演しました。 現在は依存症からの回復に取り組んでいるという男性。当事者だからこそわかる、オンラインカジノの危険性を訴えました。 23日に松江市で開かれセミナー。ギャンブル依存症の当事者やその家族などが参加、お互いの経験や今の心の内を明かしました。 Hさん: 私の生活のほとんど、頭の中は闇金にどうお金を返すか、返すためにはギャンブルしかないという日々が続いていきます。 自身の経験をこう振り返ったのは、20代のHさん。Hさんは、東京出身。オンラインカジノをきっかけに借金を重ねるようになり、債務の総額は約1500万円に上り、生活は破綻しました。今は、ギャンブル依存症からの回復を目指すかたわら、各地で開かれる講演会などで自身の体験を話しています。 Hさん: ある日、闇金への返済をしなければならなくなった時に、手元の現金が無くて万引きを決意しました。 親族や消費者金融、さらには「闇金」にも手を出し、膨らんだ借金。返済に追われたHさんはついに万引きに手を染め、警察に逮捕されました。幼少期を海外で過ごし帰国したHさんは、東京の有名私立大学に進学、卒業後も大手企業に就職し、順風満帆だった人生を破局に追いんだのは、「オンラインカジノ」でした。 Hさん: ディーラーが実際に画面上で配っているゲームで、リアルなカードが動いている感じだったので、イカサマとかもないだろうなと思いました。 10代のころからギャンブルに興味があったというHさん。社会人になり、コロナ禍の巣ごもり期間中、偶然見かけた動画で「オンラインカジノ」を知りました。そして、軽い気持ちで参加するうち、次第に離れられなったといいます。 Hさん: あたるというか、一応そのゲームにのっとった確率で当たっていってたのかな。 日本国内でオンラインカジノに参加することは、賭博罪や常習賭博罪に当たり、違法です。 しかし…。 Hさん: 始めたときは違法性は全く感じていなくて、まだ日本の法律で規定されてないとか、そういったネットの記事とかもあったので、もうそれを信じ切ってましたね。やっても罰せられないってことは安心した上でプレーしてました。 問題になっているスポーツ選手やタレントらのように「違法性」は感じなかったといいます。 警察庁が2025年に公表した実態調査によると、オンラインカジノの利用経験がある人は約337万人、掛け金の総額は年間で1兆2400億円あまりに上ることがわかりました。加えて、経験者の約半数が知人や親族、消費者金融などから借金をしたことがあると回答。10代では、その割合が6割に達していました。セミナーを主催した団体の調査でも、依存症に悩む人の約7割がオンラインカジノに参加して3か月以内に借金をし、約半数は借金返済のため、犯罪に手を染めた実態も明らかになっています。団体では、オンラインカジノが闇バイトなど次の犯罪の入り口になると警鐘を鳴らしています。 Hさん: クレジットカードでの入金ができるってところで、手元にないお金でも賭けの対象にできるっていうのは、危険なギャンブルだなと思う。 勝った喜びが忘れられず、負けても次の元手を借金でまかなう…気が付けば「借金スパイラル」に陥っていることがオンラインカジノの恐ろしさだと、Hさんは訴えます。 Hさん: オンラインカジノはまずいってことと、依存性が高いっていうところは認識してほしい。もう絶対プレーはやめてほしい。 島根県内でも2023年の1年間に、消費者センターに寄せられたギャンブル依存による借金についての相談は約3000件に上り、この問題が地方でも広がっていることがうかがえます。SNSの普及で「知ってしまう」機会も増えたオンラインカジノを始めとする、さまざまなギャンブル。依存症に悩む人は、身近にいるかもしれません。 こうした現状に、警察などはオンラインカジノが違法であることを改めて周知するとともに、ギャンブル依存に悩む人や家族には、相談窓口や支援活動団体に早めに相談するよう呼びかけています。

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