東京・新宿での女性殺害 東京地裁初公判で男が起訴内容認める ストーカー事件どう防ぐ

東京都新宿区のマンション敷地内で女性=当時(25)=を殺害したとして殺人罪などに問われた和久井学被告(52)=川崎市川崎区=の裁判員裁判の初公判が4日、東京地裁(伊藤ゆう子裁判長)であり、被告は「(間違いは)ないです」と起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、被告は女性の経営するガールズバーの客で、女性に付きまとったなどとして令和4年にストーカー規制法違反容疑で逮捕されていたと指摘。女性がインターネットのライブ配信で、被告が逮捕されたことに言及していたことを知り、自宅近くに待ち伏せした上で殺害したと述べた。 一方、弁護側は、被告が自身の車やバイクを売るなどして得た1600万円を女性にわたしていたことを紹介。多額の借金に苦しむかたわら、女性にストーカー扱いされたことに絶望したと訴えた。 起訴状によると、昨年5月8日午前3時5~10分ごろ、新宿区内で果物ナイフ2本を使い、女性の胸や腹などを複数回突き刺し、殺害したなどとしている。 ■相次ぐストーカー殺人 専門家「SNSに注意を」 4日に行われた和久井学被告の初公判。証人として出廷した被害女性の母親は「(同種事件の)抑止になるよう願っています」と静かに語った。ただ、ストーカー行為の末に命が奪われる事件は後を絶たない。 令和5年1月には、福岡市のJR博多駅近くで女性が元交際相手の男に刺され、死亡。男はストーカー規制法に基づく禁止命令を出されていた。また、今年4月、川崎市の住宅で遺体で発見された女性も、元交際相手からのストーカー被害を警察に訴えていた。 なぜ事件を防ぐことができないのか。ストーカーをした人との面談を繰り返してきたNPO法人ヒューマニティの小早川明子理事によると、加害者は相手に避けられたり警察に介入されたりすることで苦しみを感じ、「相手がいなくなれば」との発想に至るケースが目立つ。相手に近づけなくなっても関心は5年ほど続き、交流サイト(SNS)上で監視を続けることも。「被害者は生活圏を推測されるような投稿をしない方がいい」とアドバイスする。 相次ぐ事件に対し、警察は昨年3月から禁止命令を出した加害者に接触し、様子を把握するようになった。小早川氏は「頻繁に連絡を取り、抑止してもらうことが重要だ」と話した。(弓場珠希)

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